南箕輪村の人口増の理由について、考察しています。
第19回のテーマは「人口増の素地とV字回復」です。
南箕輪村の人口が増えていることが、徐々にですが近年クローズアップされ始めています。
これは世の中が人口減少の時代に入ったことで、人口が増え続けている自治体について、研究や調査が始まったことが要因の一つかと思います。
その結果、全国から地方議会や自治体の視察が多くあり、私もいくつか移住定住担当として説明をさせていただきました。
でも、クローズアップされる前の時代、日本全体が人口減少に入る前の南箕輪村ってどうだったのでしょうか。
学ぶべきことがそっちにたくさんあるのではないでしょうか。
そこに現在の人口増を支える素地があるのでは?・・・と考えて、さっそく調べてみましたよ。
昭和40年→昭和45年(1965年→1970年)
TOP5 | S40の人口 | S45の人口 | 人口増加率 | |
1 | 南箕輪村 | 6146 | 6660 | 8.4% |
2 | 宮田村 | 6307 | 6767 | 7.3% |
3 | 塩尻市 | 44201 | 47000 | 6.3% |
4 | 下諏訪町 | 25352 | 26932 | 6.2% |
5 | 岡谷市 | 56986 | 60350 | 5.9% |
実は昭和40年当時から、南箕輪村の人口増加率は長野県内でTOPでした。
みなさん知っていました?僕は意外でした。
ただ、TOPと言うと実はちょっと語弊があって、当時の記事によると4位となっています。
ただ、1〜3位の自治体が既に存在していないことから、現在からしてみればTOPということになります。
- ・上郷町(かみさとまち)は1993年に飯田市に編入
- ・本郷村は1974年に松本市に編入
- ・鼎町(かなえまち)は1984年に飯田市に編入
- ・波田町は2010年に松本市に編入
- ・三郷村は2005年に他自治体と合併して安曇野市が発足
なお、国全体の人口増加率は5.5%となっており、国を基準とした場合、村の人口増加率は+2.9%となります。
ですので、すっごい人口増加率が高い!という訳ではありません。
昭和45年→昭和50年(1970年→1975年)
TOP5 | S45の人口 | S50の人口 | 人口増加率 | |
1 | 南箕輪村 | 6660 | 7676 | 15.3% |
2 | 塩尻市 | 47000 | 52164 | 11.0% |
3 | 小布施町 | 9625 | 10671 | 10.9% |
4 | 茅野市 | 36201 | 39718 | 9.7% |
5 | 松川村 | 6342 | 6861 | 8.2% |
昭和45年から50年にかけても、南箕輪村は県内TOPの人口増加率となっています。
国全体では7.9%なので、国を基準にすると+7.4%となっており、前回より人口増加率がかなり高まっていることが分かります。
昭和50年→昭和55年(1975年→1980年)
TOP5 | S50の人口 | S55の人口 | 人口増加率 | |
1 | 南箕輪村 | 7676 | 8877 | 15.6% |
2 | 箕輪町 | 17464 | 19729 | 13.0% |
3 | 山形村 | 5037 | 5578 | 10.7% |
4 | 茅野市 | 39718 | 43943 | 10.6% |
5 | 塩尻市 | 52164 | 57276 | 9.8% |
この時代でも南箕輪村の人口増加率が長野県内でTOPとなっています。
私が生まれた時代なので約40年前・・・・、ここで記録した人口増加率15.6%という数字が村が現在までに記録した最大の人口増加率となっており、今後は徐々に低下の一途を辿ることになります。
また、国の人口増加率も4.9%となっており、日本全体の人口増加率もこれからどんどん低下していくことになります。
国を基準とした場合の増加率は+11.0%と2桁突入となり、この数字もピークかと思われますが、国全体の人口増加率が減少していく中で、南箕輪の本当の底力を15年後に実は見ることができます。お楽しみに。
昭和55年→昭和60年(1980年→1985年)
TOP5 | S55の人口 | S60の人口 | 人口増加率 | |
1 | 御代田町 | 9851 | 11260 | 14.3% |
2 | 山形村 | 5578 | 6230 | 11.7% |
3 | 南箕輪村 | 8877 | 9910 | 11.6% |
4 | 白馬村 | 7131 | 7919 | 11.1% |
5 | 箕輪町 | 19729 | 21445 | 8.7% |
3期15年連続で人口増加率がTOPの南箕輪村でしたが、昭和60年には御代田町と山形村に抜かされ、3位に後退します。
それでも前回より4%弱ダウンはしてはいますが、11.6%という高い人口増加率を維持しています。
国全体の人口増加率は3.4%と減少しており、国を基準とした場合の村の人口増加率は+8.2%とななりますが、前回の+11%から3%弱ダウンしてしまっています。
昭和60年→平成2年(1985年→1990年)
TOP5 | S60の人口 | H2の人口 | 人口増加率 | |
1 | 南箕輪村 | 9910 | 10666 | 7.6% |
2 | 茅野市 | 47274 | 50065 | 5.9% |
3 | 御代田町 | 11260 | 11895 | 5.6% |
4 | 箕輪町 | 21445 | 22651 | 5.6% |
5 | 松川村 | 7896 | 8337 | 5.6% |
時代は昭和から平成に変わり、南箕輪村の人口も10,000人を数えるようになります。
ここで、また人口増加率TOPの座を取り戻すことができました。
人口増加率は7.6%と今までと比較すると低い数字にはなっていますが、国の人口増加率も2.1%と落ち込んでいます。
国を基準とした場合+5.5%となっており、また3%弱ダウンとなります。
平成2年→平成7年(1990年→1995年)
TOP5 | H2の人口 | H7の人口 | 人口増加率 | |
1 | 南箕輪村 | 10666 | 12133 | 13.8% |
2 | 山形村 | 6513 | 7208 | 10.7% |
3 | 松川村 | 8337 | 9030 | 8.3% |
4 | 原村 | 6502 | 7005 | 7.7% |
5 | 平谷村 | 617 | 660 | 7.0% |
何が起きたのでしょう。
人口増加率が2桁に回復しただけでなく、TOP5に入った他の自治体の増加率も前期と比較して大きく上昇しています。
国の人口増加率は1.6%、長野県の人口増加率は1.7%となっており、国や長野県など、全体として人口増加率が上昇したという訳ではなさそうです。
なお、国を基準とした場合の村の人口増加率は+12.2%(13.8-1.6)で歴代最大となっています。
何が起きたのかは宿題として、調べてまた別に取り上げたいと思います。
平成7年→平成12年(1995年→2000年)
TOP5 | H7の人口 | H12の人口 | 人口増加率 | |
1 | 南相木村 | 1334 | 1584 | 18.7% |
2 | 南箕輪村 | 12133 | 13404 | 10.5% |
3 | 朝日村 | 4459 | 4908 | 10.1% |
4 | 平谷村 | 660 | 712 | 7.9% |
5 | 松川村 | 9030 | 9701 | 7.4% |
南相木村にTOPの座を奪われますが、南相木ダム建設工事の関係で一時的に人口が増えたことによるものなので、本質的には南箕輪がTOPとなります。
国の人口増加率も1.1%に落ち込み、国を基準とした場合の人口増加率は+9.4%と以前高い水準を維持しています。
平成12年→平成17年(2000年→2005年)
TOP5 | H12の人口 | H17の人口 | 人口増加率 | |
1 | 山形村 | 7706 | 8195 | 6.3% |
2 | 軽井沢町 | 16181 | 17144 | 6.0% |
3 | 御代田町 | 13412 | 14124 | 5.3% |
4 | 茅野市 | 54841 | 57099 | 4.1% |
5 | 松川村 | 9701 | 10072 | 3.8% |
あれ?
あれあれ?
南箕輪村の姿が消え去りました。
南箕輪村 | 13404 | 13620 | 1.6% |
あっ!ありました。
12位です。何があったのでしょう。
国の人口増加率0.7%と比較して辛うじて上回ってはいますが、1.6%という今までの流れでは想像できない低い数字となってしまっています。
ここも宿題として、原因を調査する必要がありそうです。
平成17年→平成22年(2005年→2010年)
TOP5 | H17の人口 | H22の人口 | 人口増加率 | |
1 | 軽井沢町 | 17144 | 19018 | 10.9% |
2 | 南箕輪村 | 13620 | 14543 | 6.8% |
3 | 川上村 | 4759 | 4972 | 4.5% |
4 | 御代田町 | 14124 | 14738 | 4.3% |
5 | 山形村 | 8195 | 8425 | 2.8% |
谷底に沈んだ前期でしたが、V字回復して2位まで上昇してきました。
平成17年に現村長の唐木村長が就任し、子育てに手厚い施策を展開したことが、数字に反映されていると考えられます。
国の人口増加率は0.2%、国を基準とした場合の村の人口増加率も+6.6%まで一気に回復しました。
平成22年→平成27年(2010年→2015年)
TOP5 | H22の人口 | H27の人口 | 人口増加率 | |
1 | 南箕輪村 | 14543 | 15063 | 3.6% |
2 | 御代田町 | 14738 | 15184 | 3.0% |
3 | 松本市 | 243037 | 243293 | 0.1% |
4 | 原村 | 7573 | 7566 | -0.1% |
5 | 軽井沢町 | 19018 | 18994 | -0.1% |
そして再びTOPへ。
そして現在に至ります。
なお、国の人口増加率も-0.8%といよいよマイナスの時代に突入してしまいました。
また、TOP3以外の74自治体は人口増加率がマイナスという時代にもなっています。
宿題
・平成2年→平成7年の人口増加率向上の理由
・平成12年→平成17年の人口増加率低下の理由
この2つは宿題として、引き続き調査していきたいと思いますが、理由を知っている方はぜひお知らせください。
わかったこと
南箕輪村では、移住者が7割、地元民が3割というとっても珍しい現象が起きている理由が、過去の人口増加率の高さからよくわかりましたよ。
2018年12月27日 文責 藤城
2021年1月20日 追記 藤城
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