2025年9月に開会した南箕輪村議会の冒頭あいさつを掲載します。
おはようございます。
令和7年第3回議会定例会を招集申し上げましたところ、多くの議員のご出席を賜り開会できますことにお礼を申し上げます。
本年の梅雨明けは7月18日で平年並みでした。出水期には村内でもいくつかの自然災害が発生しました。7月1日には線状降水帯の影響により、激しい雨・強風・雷が発生し、長野地方気象台と長野県は土砂災害の危険度が非常に高まっているとして、同日20時43分に南箕輪村を含む7市町村へ土砂災害警戒情報を発表しました。これを受け、本村では本年初めて災害対策本部を設置し、土のう・バリケードによる安全確保、情報収集、公共施設や生活道路・通学路の安全確認、消防団による巡回などの対応を行いました。
この日は1時間に50ミリを超える非常に激しい雨を観測し、床上・床下浸水、土砂流入、強風による倒木、建物被害などが発生しました。被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。7月10日には飛地を中心に短時間の集中豪雨が発生し、上井水路沈砂池で越水が生じました。8月3日には箕輪ダム周辺で2時間雨量99ミリを観測しています。
このように近年は、線状降水帯に伴う集中豪雨などによる自然災害が頻発化・激甚化しております。9月7日(日)には村総合防災訓練を実施し、住民の皆さんとともに「災害への備え」を改めて確認し、実効性のある対策につなげてまいります。多くの皆さんのご参加をお願いいたします。
これから本格的な台風シーズンを迎えます。村といたしましても関係機関と連携し、一層気を引き締めて災害対策に取り組んでまいります。
さて、9月定例会は決算議会です。令和6年度各会計の決算認定をお願いいたします。詳しくは決算特別委員会においてご説明申し上げますが、概況を申し上げます。
まず一般会計の歳入は、投資的経費に充てる基金繰入金、ふるさと納税の寄附金、地方交付税の増などにより、令和5年度比で約5億6千万円(6.8%)増の88億円強となり、過去最大です。
歳入のうち村税は、前年度比8,300万円減の約22億8,400万円(▲3.6%)で、個人村民税の定額減税の実施および法人村民税の減少が要因です。
また、地方交付税は普通交付税と特別交付税の合計で、前年度比1億1,900万円増の約22億4,200万円(+5.3%)となりました。
次に歳出ですが、定額減税に伴う調整給付や物価高騰対策の各種給付金・対策事業の実施に加え、南箕輪小学校北校舎の改修、南原公園整備などの投資的経費があったことから、約4億8,500万円増(6.2%増)の82億7千万円となりました。
財政状況については、令和6年度の財政力指数は0.54で前年度並み、経常収支比率は人件費など経常経費の増により前年度から2.9ポイント上昇し、89.5%となっております。
最後に、令和7年度(今年度)の普通交付税の交付決定額は20億9,174万円で、前年度8月決定時の18億9,803万円から約1億9,300万円、10.2%の増となっております。
次に、本村の人口動態について申し上げます。
令和7年8月1日現在の人口は15,988人で、前年同日比106人の減少です。令和7年1~7月の増減は、社会減35人(転入420人・転出455人)、自然減32人(出生64人・死亡96人)でした。前年同期間(令和6年1~7月)は、社会減12人(転入484人・転出496人)、自然減4人(出生88人・死亡92人)でした。
次に、地域振興関係について申し上げます。
6月7日、9年ぶりに大芝野球場で信濃グランセローズの公式戦を開催しました。天候にも恵まれ、多くの観客の声援に包まれる中、熱戦が繰り広げられましたが、惜しくも敗戦となりました。
「花いっぱい運動」では、6月に屋内運動場駐車場の花壇へ、南部小学校4年生と上伊那農業高校の皆さんがマリーゴールドの苗を植栽しました。黄色とオレンジの花々が鮮やかに咲き、大芝高原を訪れる皆さんの目を楽しませています。
令和7年度の県「地域発元気づくり支援金」を活用した事業としては、大芝高原まつりにおいて、バンプトラック体験会およびMTB/BMXショーを実施しました。バンプトラック体験会は、自転車という身近な乗り物を使うスポーツであることもあり、保育園児から小学生まで37人が参加し、まつりとの相乗効果で大変な盛り上がりを見せました。今後も、交流と賑わいの創出につながる取組を進めてまいります。
自治会運営について申し上げます。6月から北殿区で、8月から田畑区で集落支援員を任用しています。書類作成・電話対応・公民館の維持管理など活動は多岐にわたり、区長・区役員の負担軽減につながることを期待しております。
移住定住対策事業では、7月12日に東京交通会館で長野県の移住セミナー「信州で暮らす働くフェア」が開催され、村ブースでは単身者・子育て世代・シニア世代など18組の相談を受けました。
若者回帰・定住増進支援事業としては、8月18日・19日に上伊那広域連合主催の「かみいな就活ラボ」を実施しました。参加は企業45社、学生41人(うち村出身3人)で、1日目は企業の人事担当者や若手職員との懇談、2日目は企業見学を行い、上伊那地域での就職を志向する若者と企業を結び付ける機会となりました。
空き家対策では、8月16日に南箕輪村民センターで伊那地域定住自立圏主催の「空き家総合相談会」を実施しました。村からの相談者は8組で、数年以内に空き家化が見込まれるいわゆる「空き家予備軍」に関する相談もありました。「具体的に相談できて不安が解消した」との声のほか、「空き家バンクに登録したい」との意向も寄せられました。引き続き、関係機関と連携しながら移住定住の促進と空き家対策を一体的に進めてまいります。
次に、福祉関係について申し上げます。
まず、燃料高騰対策給付金についてです。これまで冬期の経済的負担の軽減策として実施してきた福祉灯油券交付事業は、今年度に限り、国の物価高騰対応重点支援給付金を活用し、1世帯当たり1万円の現金給付に切り替えて実施します。対象についても、従来は住民税非課税の高齢者世帯や重度の障がい者等のいる世帯に限定していましたが、今年度は住民税非課税の全世帯へ拡大します。
地域福祉計画・障がい者福祉計画については、地域福祉計画が5か年計画の4年目、障がい者福祉計画が3か年計画の2年目に当たります。年度内に住民アンケートや関係機関へのヒアリング等を実施し、その結果を踏まえて、両計画とも令和8年度中に次期計画の策定を進めてまいります。
また、民生委員・児童委員の改選につきましては、各区から推薦された新委員候補が欠員なく出そろい、現在は厚生労働大臣からの委嘱を待っている状況です。候補者の選出にご尽力いただいた区長各位に、心から感謝申し上げます。
次に、産業関係について申し上げます。
まず農業関係です。いわゆる「令和のコメ騒動」に伴う米の供給逼迫や価格高騰が話題となっております。本村の本年の稲作は、昨年同様に高温の影響が懸念されるものの、生育は概ね昨年並みです。稲刈りは9月7日頃に開始予定で、作付面積は昨年より増加していることから、収穫量の増加を期待しております。
一方で、カメムシ類の発生が昨年同様に目立っており、品質等への影響を懸念しています。防除は実施しておりますが、収穫期に向けて動向を注視してまいります。
また、農業連携協定を締結している泉大津市を中心に、米を起点として生産地と消費地が自治体間で連携し、日本の「食と農」を考える『コメサミット』を来年度から開始する構想が示されています。村としても前向きに関与する方向で検討しており、進捗は適宜、議会へご報告いたします。
農業者物価高騰対策の交付金については、8月末締切で、8月19日現在の申請件数は119件、申請額(累計)は527万円となっています。
耕地関係では、8月に入りクマの目撃や農作物被害の通報が増加しており、センサーカメラや箱わなの設置、巡回パトロール等を鳥獣被害対策実施隊と連携して実施しています。人身被害の防止を最優先に、対策を一層強化してまいります。
7月10日には大芝高原周辺で短時間の豪雨があり、上井水路沈砂池の越水により、南側隣接農地で耕土(こうど)が流出する被害が発生しました。応急対応は完了しておりますが、今後も同様の豪雨が想定されるため、沈砂池のかさ上げ改良工事を本補正予算に計上しております。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。
最後に商工関係です。いわゆる「トランプ関税」に関する日米合意の影響が懸念され、伊那谷の経済動向、とりわけ製造業・小売業では景況感の悪化が予想されます。商工会と連携し、村内企業の実態把握と必要な支援策の検討を進めてまいります。
次に、観光・森林関係について申し上げます。
8月23日に第40回大芝高原まつりを開催しました。企画検討委員会において過去の反省点を洗い出し、実行委員会・各委員会で対策を検討のうえ実施したものです。準備から片付けまで厳しい暑さとなりましたが、熱中症やけがによる救急搬送はなく、多くの方にご来場いただきました。たらい乗り体験などの復刻企画や、郷土資料の展示など新たな取り組みも行い、大いに盛り上がる催しとなりました。
交通面では、巡回バスを増便して運行しましたが、大芝高原周辺で送迎に伴う一時停車や路上駐車が散見されるなどの課題も生じました。これらの反省点を踏まえ、次年度に向けて改善策を検討してまいります。
また、大芝高原では9月6日(土)に「ブラメシフェス」を開催します。本イベントは、観光協会が昨年度から取り組む大芝高原産の伊那赤松妙炭を活用した「ブラメシ」の普及を目的とするものです。村としても、第2世代交付金を活用した「グリーン・セーフティ・オアシス大芝高原プロジェクト」の一環として、新たな炭メニューを開発し、特産品としてPRすることで、唯一無二の地域資源の創出を目指します。
具体的には、昨年の中学生議会で寄せられた「炭を使ったポップな商品があったらうれしい」との意見を受け、若者に人気の「ベビタピ」を招致します。会場ではキッチンカーの出店やグッズ販売に加え、「ベビタピ」とのコラボによる新たな炭商品を限定販売します。こうした取組を通じて、ブラメシと若者カルチャーを結び付け、子育て世代や若い世代に“わくわく”を届けるとともに、村への愛着や関心の醸成につなげてまいります。
次に、昨年12月に策定した「大芝高原森林づくり実施計画」についてです。南箕輪村森林協議会において実施状況の評価を行い、進捗管理を進めています。令和6年度は関連施策ごとに評価いただき、その結果を村ウェブサイトで公表しました。概ね計画どおりに実施されているとの評価をいただきましたが、まだ始まったばかりの計画であることから、改善を図りつつ着実な推進に努めてまいります。
建設・上下水道関係について申し上げます。
建設工事の上半期の進捗は、地区計画事業を中心に発注ベースで約25%が発注済みです。今後は、大規模工事となる村道6号線舗装修繕工事や大泉新公園工事、地区計画事業の未実施分を順次発注するとともに、補助事業である橋梁の定期点検や村道1098号線(中込線)歩道設置工事も継続して実施します。
また、水路改修・浚渫事業は、渇水期となる冬期間に実施する予定です。
県事業では、大清水川と県道南箕輪沢渡線の交差部における河川拡幅および道路改良、国道361号南原の歩道設置工事がいずれも順調に進んでおり、引き続き早期完成を要望してまいります。
水道事業では、国庫補助事業を活用し、北原地区および大芝公園内で重要基幹管路の耐震化を進めるとともに、第2配水池では自家発電設備の設置工事を進めています。今後は、大芝区からの地区要望である低水圧解消のための布設工事を実施してまいります。
下水道事業では、ストックマネジメント計画に基づく管路更生工事、総合地震対策計画に基づく幹線マンホール継手部の耐震改修等を実施しています。住宅新築等に伴う公共ますの設置整備も、順次進めています。
次に、こども課の取組について申し上げます。乳幼児の成長に伴いサイズが合わなくなるなどして手元に残った未開封・未使用の紙おむつを、必要とするご家庭へつなぐ仕組みとして、「まっくんのおむつリレー」を8月に開始いたしました。回収用・配布用のボックスを、こども館やすくすくはうす等に設置し、どなたでもご利用いただけます。多くの皆様にご参加いただき、子育てを支え合う輪が一層広がるよう、引き続き努めてまいります。
最後に、教育委員会関係について申し上げます。 本年も猛暑により熱中症警戒アラートが発表され、小中学校では夏休み前および夏休み中に、各校で活動制限等の対応を講じました。2学期は、音楽会や若竹祭など、さまざまな行事を予定しております。2025年8月5日から6日にかけて、希望する村内の小中学生を対象に、広島を訪問し、戦争の悲惨さや平和の尊さについて学ぶ「広島平和学習」を、南箕輪村として初めて実施しました。今後、まとめの会を経て、広島平和学習で学びそして吸収したことを、参加者の声として村民の皆様へお届けする報告会を予定しています。改めて告知してまいりますので、ぜひご参加ください。
施設整備事業についてです。令和6年度の繰越事業である、こども館東側公園用地の遊具設置工事は、5月末に竣工し、現在、多くの子どもたちに利用されています。今後は、公園名称の決定手続きを進めてまいります。
学校施設の整備では、南箕輪小学校で西校舎の長寿命化改修に向けた調査設計業務および校庭照明のLED化工事を発注しました。南部小学校では、校内照明および校庭照明のLED化工事を発注しました。南箕輪中学校では、西校舎トイレ改修工事と体育館ガラスの耐震改修工事を発注しました。いずれも順次施工を進めており、授業への影響を避けるよう工程管理を徹底いたします。
社会教育関係施設については、村民センターホールの舞台照明設備のLED化および非常用発電設備の更新、あわせて村民体育館の大規模改修に係る設計業務を発注しました。適切な時期に工事へ移行できるよう、準備を進めてまいります。
今後の社会教育・公民館関係事業として、9月に「まっくんスポーツフェス」を、11月には文化講演会および村民文化祭を開催いたします。
令和7年度も5か月が経過し、まもなく折り返し点を迎えます。「いつまでも幸せに暮らせる村」を目指し、各事業を着実に推進してまいりますので、引き続き皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
本定例会に提出いたしました議案は11件でございます。いずれも慎重なご審議のうえ、原案どおりご可決賜りますようお願い申し上げます。以上、開会に当たってのご挨拶といたします。
