コメがつなぐ自治体間農業連携首長協議会の設立に向けた首長会議に参加してきました。

“米”を起点として日本の食料問題の本質に向き合い、「生産地」と「消費地」をつなぐ新たな自治体間ネットワークの構築を目指す全国的な取組みを検討する首長会議に参加してきました。

参加自治体

生産地

北海道旭川市、青森県五戸町、長野県南箕輪村、滋賀県東近江市、滋賀県野洲市、滋賀県日野町、兵庫県稲美町、和歌山県かつらぎ町、和歌山県日高川町、岡山県吉備中央町、高知県香南市、熊本県人吉市、沖縄県石垣市

消費地

神奈川県鎌倉市、大阪府泉大津市、大阪府高石市

村での参加、長野県での参加は今のところ南箕輪村のみでした。

現状とねらい

南箕輪村の特別栽培米「風の村米だより」は現在、泉大津市の学校給食と妊婦さんへ寄贈する金芽米として、適正価格で購入していただき活用されています。

この取り組みに、消費地と生産地それぞれ多くの自治体が関わることで、消費地と生産地で顔の見える関係をつくり、直結流通で価格・供給を安定化し、農家の持続性と住民の健康、生活・国家の安全保障を強化していきたいというのがねらいとなります。

協議会については、令和8年度に発足予定となっており、それまでに村の農業者や議会など、関係者に説明をしていく必要があります。

南箕輪村からの発信内容

私の発表テーマは「地域が直面している食と農の課題」をいただきましたので、前向きな内容にしたいと考え、下記のとおり発表してきました。

1 温暖化による高温障害への懸念

南箕輪村は、日本で2番目・3番目に高い山々を擁する南アルプスと中央アルプスに挟まれ、豊かで清らかな水に恵まれています。

村域の標高は概ね600m以上で、放射冷却により夜間は気温が急激に下がるため、高温障害の影響を受けにくい環境です。

しかし、近年の気温上昇により、高温障害の発生リスクは確実に高まっており、重要な課題と捉えています。


一方、伊那谷と呼ばれる急峻な谷地形のため圃場の大区画化が難しく、法面(あぜ・土手)の割合が増えがちです。

その結果、草刈りなど維持管理の負担が大きくなる傾向があり、これも課題です。

2 農業者の手取り収入の確保

物価高騰により、農業用機械や肥料の価格上昇が続き、農業所得の確保が大きな課題です。


収入面では、「令和の米騒動」に伴う米価上昇が生産意欲を押し上げ、一部で作付拡大につながっています。


費用面では、村の特別栽培米は鶏ふんを活用しており、現時点で鶏ふん価格の大幅な上昇は見られず、コストの下支えとなっています。


さらに、南箕輪村は「一村一農場」の考え方のもと、農事組合法人「まっくんファーム」にほぼ全ての農家が加入し、コンバインなど大型機械を共同購入・共同利用しています。

これにより費用低減を図るとともに、地域のつながりが広がり、先祖代々の農地の耕作を組織に委ねる心理的ハードルも下がっています。

3 農家の誇りやモチベーションの維持

村は農家の誇りやモチベーションの維持のため、特別栽培米「風の村米だより」の作付面積を100haまで拡大する目標を掲げ、令和の米騒動以前から、生産体制と販路拡充に注力してきました。


また、村全体で村の子どもたちを育てていきたいという理念のもと、妊婦、保育園、小学校、中学校の給食には、すべてこの「風の村米だより」を使用しています。


今回の泉大津市のように、都市部の自治体の学校給食という直接の引き合いがあることは、眼に見える形で誰の口に入るのかが分かり、さらに安定した需要があることを示すことができ、それは農家のモチベーション維持にも貢献していると考えています。

市民公開シンポジウム

首長会議後に行われた市民公開シンポジウムでは、主催地である泉大津市長から、大まかに3つの施策の紹介がありました。

施策① 食の安全保障

全国の産地(旭川〜石垣など)と連携・共同宣言をしていく。

学校・保育・妊産婦へ安定供給し、自治体が直接調達することで中間コストを削減していき、それにより農家所得は2〜3割増を目指していきたい。

実際に、ある地域では参画農家が約2→12件に増加し、作付は約20→60haに拡大した事例がある。市場価格(5kgで5千円台)に左右されにくい供給網を構築できた。

施策② 健康戦略

オーガニック給食、金芽米の食育を推進。添加物を避け、砂糖もミネラルが残っているものを。

栄養・腸内環境の「見える化」、健康になる“選択肢”を増やす。

妊娠届〜出産まで毎月10kgの金芽米配布で貧血改善や新生児体重の好転などに手応えを感じている。

施策③ 備蓄・平準化

お米がワインのように熟成される、熟成貯蔵技術を研究していく。成功すれば、余剰は備蓄・飼料等に回すことができ、価値も上昇する。

消費地と生産地で顔の見える関係をつくり、直結流通で価格・供給を安定化し、農家の持続性と住民の健康、生活・国家の安全保障を強化していきたい。