南箕輪村の人口増についての考察9「税金が安い!?土地が安い。が所得は高い!」

人口増の村

南箕輪村の人口増の理由について、考察しています。

第9回のテーマは「税金が安い!?土地が安い。が所得は高い!」です。



「南箕輪村って税金が安いって聞きますけど本当ですか?」
「えっ!どこで聞いたんですか?」
「えっ!結構聞きますよ〜」

そんな会話がありまして、ちょっと調べてみましたよ。

どの税金が安い?

税金と言っても、所得税、法人税、住民税などなど、その数は軽く50種類はあります。

最近話題に上がる税金はやっぱり消費税でしょうか。

でも消費税に代表される消費課税の金額は、全国一律なので、今回の「税金が安いって聞きますけど〜」の中には入ってこないですよね。

それでは、いったいどの税金が安いのでしょうか?

住民税?

住民税が安い!ってことになるとすごい分かりやすいんですが、住民税は長野県内は、ほぼ一緒なので、これではありませんね。

事業税?

事業税が安い!ってことになるとありがたいですが、これも長野県内はほぼ一緒なので、これでもありません。

ちなみに個人事業税は課税所得金額の3〜5%です。

法人事業税は複雑なので興味のある方はこちらでお調べください。

固定資産税や相続税?

土地の評価額が他と比べて安ければ、固定資産税や相続税などの税金は安くなります。

もしかしたらコレかもしれませんね。

ということで、県内及び上伊那で調べてみました。

土地の評価額

全ての土地評価額が定まっていて公表されている訳ではないので、長野県が公表している「令和2年の市町村別・用途別平均価格及び変動率一覧表」の土地評価額を、住宅地と全用途で、まずは調べてみました。

https://www.pref.nagano.lg.jp/kikaku/infra/tochi/chika/chikakoji/documents/r2kouji-shityousonnbetsu.pdf

住宅地標準値数評価額変動率(%)全用途標準値数評価額変動率(%)
長野市4853,300-0.4長野市7472,000-0.1
松本市3447,8000.9松本市5364,1000.8
軽井沢町639,2005.2軽井沢町855,9005.4
茅野市242,400-1.1茅野市548,800-1.4
諏訪市339,100-1.5諏訪市648,000-1.5
下諏訪町243,200-1.5下諏訪町345,700-1.7
岡谷市342,400-1.5岡谷市644,500-1.7
上田市1038,100-0.4上田市1743,800-0.5
塩尻市838,8001.2塩尻市941,3001
佐久市428,900-0.2佐久市940,900-0.1
飯田市524,400-0.4飯田市1138,800-0.8
中野市334,300-0.7中野市537,700-0.7
小布施町331,4000.8小布施町436,1001.1
須坂市733,100-0.6須坂市1034,300-0.6
千曲市528,700-1.9千曲市833,700-1.8
坂城町226,600-1.7坂城町328,700-1.9
駒ケ根市222,200-1.8駒ケ根市528,600-2
東御市227,900-0.9東御市428,100-1.2
伊那市323,100-1.3伊那市627,700-1.8
山ノ内町225,700-2.9山ノ内町327,700-2.1
安曇野市1123,0000.5安曇野市1626,2000.4
箕輪町222,700-1.7箕輪町324,700-2
木曽町220,300-2.8木曽町324,500-3
小諸市323,700-0.4小諸市523,700-0.5
富士見町221,400-2.1富士見町323,400-2.3
辰野町219,000-2.6辰野町321,700-2.8
飯山市319,300-0.8飯山市421,400-1.2
松川町219,500-1.3松川町321,000-1.5
御代田町216,4000.1御代田町320,700-0.5
高森町217,600-0.8高森町319,600-1.4
宮田村219,100-1.3宮田村219,100-1.3
松川村217,600-0.5松川村217,600-0.5
小海町214,100-1.8小海町317,500-2
野沢温泉村217,4003野沢温泉村217,4003
大町市315,200-0.6大町市617,300-1.1
南箕輪村218,4000.3南箕輪村315,9000.2
上松町214,500-2.9上松町315,700-3
飯島町210,900-2飯島町314,500-2.4
池田町211,7000池田町313,300-0.4
信濃町29,400-2.6信濃町311,400-2.3
飯綱町211,100-1.8飯綱町211,100-1.8
白馬村28,00010.4白馬村310,10012
中川村25,000-2.4中川村25,000-2.4

南箕輪村の全用途の評価額は15,900円/㎡で、下から8番目で、かなり下の方に位置しています。

長野市や松本市など、商業地が確立しているところは、住宅地(表の左)より全用途(表の右)のほうが評価額が高く、南箕輪村のように商店街がないところは、逆に住宅地のほうが全用途より評価額が高くなっています。

なお、驚いたことに、住宅地のほうが全用途より評価額が高くなっているのは、長野県内においては、南箕輪村のみです。

最新の土地評価額

全用途の評価額について、上伊那で抜き出して、さらに過去からのデータも加えて推移を見ていきましょう。

 2017年2018年2019年2020年2021年2022年
駒ヶ根市30,600円29,800円29,200円28,600円27,940円27,380円
伊那市29,300円28,700円28,200円27,700円27,183円26,683円
箕輪町26,500円25,800円25,200円24,700円24,100円23,566円
辰野町23,800円23,000円22,300円21,700円21,033円20,466円
宮田村19,900円19,600円19,400円19,100円18,800円18,500円
南箕輪村16,000円15,900円15,900円15,900円15,833円15,833円
飯島町15,700円15,300円14,800円14,500円14,076円13,733円
中川村5,400円5,300円5,100円5,000円4,890円4,775円

地価公示から評価額をみてみると、南箕輪村は上伊那の中では比較的安いことが分かりました。

また後述しますが、南箕輪村は評価額がほぼ下がっていないトレンドとなっています。

これが、税金が安い!と言われる一つの理由なのかと推測します。

地価低下の変動率

また、調べている中で感じたのは、地価低下の変動率がプラスだったり、小さかったりするということです。

さすがに人口が増えるように地価も上昇するまでは至っていませんが、令和2年においては地価が上昇する異例中の異例の結果となりました。

地価公示 南箕輪村22年ぶり上昇|ニュース|伊那谷ねっと
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地価の低下が少ない自治体となっており、将来に渡っての不安が緩和される状況になっています。

・・・が所得は高い

土地の評価額が低ければ、所得も低いのではないかと推測されますが、2018年の納税義務者一人あたりの課税対象所得について調べてみたところ、なんと南箕輪村は3位に位置しています。

1985年においても、なんと県内で7位の位置につけており、要するに所得は高いが土地の評価額は低いままであったことがデータから分かります。

所得が高ければ土地を購入したり家を建てたりするハードルは下がりますので、不動産投資が積極的に行われることに直接的につながります。

そのことは、明確に人口増に寄与した根拠であると言えるでしょう。

下の表の、一番右の順位を見てみれば、異質な感じが見て取れますね。

順位
2018年
自治体1人あたり
【千円】
課税対象所得
【千円】
納税義務者数
【人】
1985年
【千円】
順位
1985年
評価額2020
【円/㎡】
順位
1軽井沢町3,91336,177,0659,2452,2421855,9003
2松本市3,254361,232,864111,0092,464464,1002
3南箕輪村3,12022,568,9867,2342,395715,90070
4長野市3,115546,626,972175,4832,497272,0001
5諏訪市3,09374,018,54223,9302,607148,0005
6岡谷市3,03772,149,40623,7552,474344,5007
7下諏訪町3,03328,495,3029,3942,409645,7006
8南牧村3,0094,113,5271,3671,97651
9塩尻市3,00294,963,56531,6302,3698
10原村2,99210,548,1423,5262,13027
11坂城町2,97420,346,2046,8422,4505
12宮田村2,96112,401,7604,1892,20022
13北相木村2,951799,7532711,78372
14伊那市2,93493,312,18731,8072,24816
15箕輪町2,93334,673,43211,8202,27214

2018年11月1日 文責 藤城

2020年3月19日 追記 藤城

2021年1月17日 追記 藤城

2022年3月23日 追記 藤城

人口増の考察一覧
  1. 人口増の要因と人口の推移と推計
  2. 信州大学農学部
  3. 保育料の引き下げ
  4. 大芝高原
  5. 子どもの病院代
  6. 移住者が多い村 その割合なんと7割!
  7. コンパクトシティ
  8. 産業構造
  9. 税金が安い!?土地が安い。が所得は高い!
  10. ベッドタウン?
  11. 人口の推移と推計(南原地区、大泉地区)
  12. 運動あそび
  13. 中央自動車道伊那インターチェンジ
  14. 雪が少ない
  15. ママの就業・お仕事相談
  16. 1点集中できる規模
  17. 無駄が少ない=スリムな行政
  18. 山麓の村人〜恵まれた日照と夜の涼しさ
  19. 人口増の素地とV字回復
  20. 鳥獣被害が少ない
  21. 人口の推移と推計(北殿地区、南殿地区)
  22. 社会増減と自然増減そして人口増減
  23. 水が無くて開発が遅れた&不毛の大地を切り開いた先人たち
  24. ずば抜けて高い新築戸建て率

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