南箕輪村の人口増の理由について、考察しています。
第22回のテーマは「社会増減と自然増減そして人口増減」です。
最初に謝っておきます。この考察はちょっとややこしいことになっていて分かりにくいです。
自然増の数
南箕輪村は長野県で唯一「自然増」を記録している自治体となりました。
平成に入った1989年から2017年までは、平均して52人の自然増を記録していた南箕輪村ですが、2017年は極端に減少して自然増の数は3人、2018年は1人、2019年は15人となっています。
社会増減と自然増減そして人口増減
考察19では国勢調査の数字を元に調査を進めましたが、今回は平成に入ってからの、1年ごとの社会増減と自然増減そして人口増減のデータを元に調べていきたいと思います。
平成12年(2000年)から平成22年(2010年)ごろの国勢調査の数字が実態と解離しているような気がしたことが理由です。
平成2年→平成7年(1990年→1995年)
社会増減 | 転入 | 転出 | 増減数 | 自然増減 | 出生 | 死亡 | 増減数 | 人口増減 | 増減数 | ||
H2 | 717 | 537 | 180 | H2 | 119 | 58 | 61 | H2 | 241 | ||
H3 | 911 | 299 | 612 | H3 | 103 | 67 | 36 | H3 | 648 | ||
H4 | 805 | 656 | 149 | H4 | 139 | 73 | 66 | H4 | 215 | ||
H5 | 795 | 727 | 68 | H5 | 124 | 78 | 46 | H5 | 114 | ||
H6 | 991 | 758 | 233 | H6 | 141 | 66 | 75 | H6 | 308 | ||
5年合計 | 1,526 |
社会増減は増えたり、減ったり年によって大きな隔たりがありますが、平成3年に記録した社会増612人は、現在に到るまでに記録した最多数となっています。理由は転出が299人と少なかったことが大きいと思います。
人口は1,526人プラスとなっています。なお、国勢調査の結果では1,467人プラスです。
平成7年→平成12年(1995年→2000年)
社会増減 | 転入 | 転出 | 増減数 | 自然増減 | 出生 | 死亡 | 増減数 | 人口増減 | 増減数 | ||
H7 | 1,348 | 874 | 474 | H7 | 138 | 89 | 49 | H7 | 523 | ||
H8 | 1,204 | 1,115 | 89 | H8 | 140 | 71 | 69 | H8 | 158 | ||
H9 | 1,493 | 1,063 | 430 | H9 | 144 | 90 | 54 | H9 | 484 | ||
H10 | 1,448 | 1,331 | 117 | H10 | 153 | 72 | 81 | H10 | 198 | ||
H11 | 1,456 | 1,337 | 119 | H11 | 145 | 96 | 49 | H11 | 168 | ||
5年合計 | 1,531 |
社会増減は、転入転出ともに4桁(=1,000人以上)を記録するようになります。
おそらく、地方への人口移動が増えてきたことによるもので、その原因としては下記が挙げられます。
・平成7年(1995年)は地下鉄サリン事件や阪神・淡路大震災など、都市圏で国を揺るがす大きな事件が起きた。
・1995年は地方から3大都市圏への人口移動の数字が減った珍しい期間として、人口移動マニアの中では有名。
・南箕輪村では南部小学校が平成8年に完成したので、それに関連した人口移動も少なからずあった。
人口増減は1531人プラスとなっています。なお、国勢調査の結果では1,271人プラスです。
平成12年→平成17年(2000年→2005年)
社会増減 | 転入 | 転出 | 増減数 | 自然増減 | 出生 | 死亡 | 増減数 | 人口増減 | 増減数 | ||
H12 | 1,617 | 1,373 | 244 | H12 | 157 | 74 | 83 | H12 | 327 | ||
H13 | 1,213 | 1,279 | -66 | H13 | 174 | 122 | 52 | H13 | -14 | ||
H14 | 1,172 | 1,250 | -78 | H14 | 150 | 110 | 40 | H14 | -38 | ||
H15 | 1,295 | 1,113 | 182 | H15 | 158 | 97 | 61 | H15 | 243 | ||
H16 | 1,279 | 1,198 | 81 | H16 | 145 | 89 | 56 | H16 | 137 | ||
5年合計 | 655 |
社会増減では、最も転入者が多かったのが平成12年に記録した転入1,617人で、歴代最大数です。
また、同年に記録した転出1,373人も同様に転出最大数です。
なお、平成13・14年は平成に入ってから初めて社会減を記録しています。
この頃から出生数の増加より死亡数の増加が徐々に顕著になっていきます。
平成13年になって、南箕輪村も初めて人口減を体感することになります。
平成12年に子ども未来センターの建設が頓挫したり、平成16年に平成の大合併の投票があったり、なんとなく嫌な雰囲気があったのかもしれません。
人口増減は655人プラスとなっています。なお、国勢調査の結果では216人プラスです。
平成17年→平成22年(2005年→2010年)
社会増減 | 転入 | 転出 | 増減数 | 自然増減 | 出生 | 死亡 | 増減数 | 人口増減 | 増減数 | ||
H17 | 1,142 | 1,244 | -102 | H17 | 151 | 111 | 40 | H17 | -62 | ||
H18 | 1,205 | 1,114 | 91 | H18 | 154 | 101 | 53 | H18 | 144 | ||
H19 | 1,314 | 1,168 | 146 | H19 | 138 | 102 | 36 | H19 | 182 | ||
H20 | 1,233 | 1,102 | 131 | H20 | 142 | 112 | 30 | H20 | 161 | ||
H21 | 1,003 | 941 | 62 | H21 | 160 | 105 | 55 | H21 | 117 | ||
5年合計 | 542 |
平成18年に木曽と伊那谷を結ぶ「権兵衛トンネル」が開通したことにより、人口移動にプラスの効果が見られますが、平成20年のリーマンショックが影響し、日本国では人口移動の減少傾向が見られるようになります。
人口増減は542人プラスとなっています。なお、国勢調査の結果では923人プラスです。
平成22年→平成27年(2010年→2015年)
社会増減 | 転入 | 転出 | 増減数 | 自然増減 | 出生 | 死亡 | 増減数 | 人口増減 | 増減数 | ||
H22 | 726 | 851 | -125 | H22 | 166 | 120 | 46 | H22 | –79 | ||
H23 | 852 | 717 | 135 | H23 | 154 | 122 | 32 | H23 | 167 | ||
H24 | 801 | 712 | 89 | H24 | 153 | 128 | 25 | H24 | 114 | ||
H25 | 794 | 699 | 95 | H25 | 158 | 94 | 64 | H25 | 159 | ||
H26 | 742 | 699 | 43 | H26 | 178 | 128 | 50 | H26 | 93 | ||
5年合計 | 454 |
平成26年の出生数178人は、平成に入ってから最も多い数となっています。
「南箕輪村で赤ちゃんが最もたくさん生まれたのは平成26年と超最近なんだよ!」
みたいな〜口コミは、ドンドン広めていきたいですね!!!
人口増減は454人プラスとなっています。なお、国勢調査の結果では520人プラスです。
整理
1年ごとの人口増減の合計を用いると実際の人口より+311人になってしまいました。
そこで、人口増減では平成2年の人口を10,666人から311人マイナスした10,355人と仮定して、再計算してみようと思います。
人口 | 5年後の人口 | 1年ごとの人口増減 人口増加率 | 増加数 | 国勢調査 人口増加率 | 増加数 | |||
H2 | 10,355 | 11,881 | 14.7% | 1,526 | 13.8% | 1,467 | ||
H7 | 11,881 | 13,412 | 12.9% | 1,531 | 10.5% | 1,271 | ||
H12 | 13,412 | 14,067 | 4.9% | 655 | 1.6% | 216 | ||
H17 | 14,067 | 14,609 | 3.9% | 542 | 6.8% | 923 | ||
H22 | 14,609 | 15,063 | 3.1% | 454 | 3.6% | 520 | ||
H27 | 15,063 |
1年ごとの人口増減の増加数と国勢調査の増加数により、それぞれの人口増加率をグラフにすると、以下になります。
人口増減のデータを用いると、国勢調査と比較して、人口増減率の変化がなだらかなグラフを描く
ことが分かりました。
結論
南箕輪村はずっと長野県内でTOPクラスの人口増加率を保ってきましたが、平成12年→平成17年だけなぜか、急激に人口増加率が落ち込んでいます。
これらは、国勢調査の数字を元にした場合の現象であり、今回の1年ごとの人口増減のデータでは人口増加率の極端な低下は起こっていません。
挑戦的な仮説にはなりますが、平成12年→平成17年で落ち込んだ人口増加率が、平成17年→平成22年で急激に回復している現象がみられることから、17年に行った国勢調査の数字が間違っていた可能性も考えられます。
2019年1月28日 文責 藤城
2021年1月20日 追記 藤城
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