南箕輪村の地域計画を読み解いていく(農業)

「地域計画」は、農業者や地域の皆さんとの話し合いにより策定される将来の農地利用の姿を明確化した設計図で、概ね10年後を見据え、誰がどのように農地を使って進めていくのかを地域の話し合いに基づきまとめる計画です。

https://www.vill.minamiminowa.lg.jp/soshiki/sangyou/minamiminowamurachiikikeikaku.html

南箕輪村の9地区の農業の現状と課題、そして将来像

地区面積(ha)農用地区域*
農地(ha)
大泉14510540103
南原125112589
久保・中込・塩ノ井109106364
田畑1081044103
大芝8408471
神子柴6160660
北原4704741
北殿・南殿3938134
沢尻109.60.410
合計728

*農用地区域とは、農業振興地域内における集団的に存在する農用地や、土地改良事業の施行にかかる区域内の土地などの生産性の高い農地等、農業上の利用を確保すべき土地として村が指定した土地です。

地域計画を読み解いていくと、全ての地区で共通している課題としては、高齢化、人手不足、草刈り負担、そして所得の伸び悩みが挙げられています。

また、将来に向けての対策案として、圃場整備による大区画化と集積・集約、中間管理機構や法人の活用、スマート農業の推進や外部人材(委託・ボランティア・シルバー)の活用などが挙げられています。

各地区の現状と課題、将来像

久保・中込・塩ノ井(農用地等 109ha)

現状と課題: 圃場整備ニーズが強い。水路・農道の改修箇所も多い。高齢化と所得の伸び悩みで担い手不安。草刈りに労力集中。

将来像: 圃場整備で大区画化→集積・集約。水利・農道は関係機関と計画的に改修。所得改善(価格・販路・補助)の設計と、既存法人・新規法人の受け皿づくり、スマート草刈りの導入。

順位作目現在(ha)
1風の村米だより18.666
2その他野菜7.818
3そば(二毛作)7.031
4コシヒカリ4.696
5大豆(出荷用)3.973
6小麦(収穫年)3.948
7加工用米3.45
8その他野菜(種苗用)1.652
9種苗類0.739
10未成熟とうもろこし0.436
11野菜0.143
12自家用野菜0.073
13その他一般作物0.043

北殿・南殿(39ha)

現状・課題: 住民からの苦情が多い(農村・都市近接の摩擦)。小区画が多く効率が出にくい傾向にある。高齢化・担い手不足。

将来像: 「農村地域である」ことの周知や合意形成を先行して実施する必要がある。圃場整備で区画拡大、併せて中間管理機構や法人への集積。所得改善のための支援メニューの拡充が必要。

順位作目現在(ha)
1コシヒカリ15.858
2大豆(出荷用)8.876
3その他野菜2.116
4小麦(収穫年)1.688
5ブロッコリー1.338
6風の村米だより1.28
7そば(出荷用)0.726
8その他0.649
9花き0.495
10黒の米だより0.447
11水稲0.364
12ブルーベリー0.355
13いちご0.291
14白ねぎ0.205
15そば(二毛作)0.201
16里芋0.121
17野菜0.1
18にんにく0.097
19ぶどう0.096

田畑(108ha)

現状・課題: 高齢化・人手不足に加え、機械装備の不足で効率が上がらない。

将来像: 法人・大規模農家への集積を加速。機械リースや共同利用で装備格差を埋め、スマート草刈り・委託・ボランティアで労力を平準化。

順位作目現在(ha)
1コシヒカリ27.554
2風の村米だより10.522
3その他野菜8.479
4未成熟とうもろこし5.249
5大豆(出荷用)3.12
6水稲3.045
7小麦(収穫年)2.884
8野菜1.649
9アスパラガス1.477
10白ねぎ0.863
11とうもろこし0.845
12ブルーベリー0.821
13そば(出荷用)0.625
14加工用米0.547
15そば(二毛作)0.363

神子柴(61ha)

現状・課題: 高齢化・人手不足・機械不足。隣接市町村からの入り作が多く、賃借が活発で流動的。

将来像: 流動性の高さを逆手に取り、中間管理機構+リース機械で効率化。委託・ボランティアで草刈り負担を軽減。

順位作目現在(ha)
1コシヒカリ14.869
2その他野菜13.45
3小麦(収穫年)7.167
4水稲5.218
5そば(二毛作)4.64
6風の村米だより2.195
7大豆(出荷用)1.456
8そば(出荷用)0.99
9ハウス0.986
10白ねぎ0.86
11自家用野菜0.651
12ブロッコリー0.492
13かき0.363
14アスパラガス0.296
15にんにく0.248

沢尻(10ha)

現状・課題: 中山間直接支払の対象があり、狭小・傾斜・条件不利。人手不足と草刈り負担が大きい。

将来像: 可能な範囲で圃場整備。水利が限られるため通水期間の協議を重視。小型・遠隔草刈り機等のスマート機器を重点導入。必要に応じて地区向け補助制度も検討。

順位作目現在(ha)
1コシヒカリ3.965
2小麦(収穫年)3.198
3未成熟とうもろこし0.827
4ブロッコリー0.422
5大豆(出荷用)0.368
6その他野菜0.321
7白ねぎ0.276
8水稲0.236
9野菜0.182
10自家用野菜0.138
11加工用トマト0.043

南原(125ha)

現状・課題: 高齢化に伴い耕作放棄地の管理が課題。所有者不明・連絡不可地も。有害鳥獣被害が比較的多い。

将来像: 主要営農である酪農と連動した牧草地活用で再利用を拡大。受け手マッチングと集積。鳥獣対策は実施隊と連携。農業者団体の活性化と所得向上策の強化。

順位作目現在(ha)
1永年性牧草16.456
2その他飼料作物13.156
3青刈りとうもろこし9.051
4飼料作物6.886
5その他野菜3.147
6野菜2.195
7小麦(収穫年)0.79
8かぼちゃ0.504
9コシヒカリ0.478
10ブルーベリー0.472
11ぶどう0.34
12スーダングラス0.285
13きゅうり0.28
14ズッキーニ0.192

大芝(84ha)

現状・課題: 高齢化・人手不足。農地売り手はいるが買い手が付きにくい。酪農が主要で、住宅地から臭気苦情あり。

将来像: マッチングの仕組みを整備し、圃場整備で受け入れやすい区画に。中間管理機構・法人活用、機械リース、スマート草刈り。酪農と住民の共存ルールの周知もセットで。

順位作目現在(ha)
1永年性牧草16.392
2青刈りとうもろこし11.72
3その他一年草牧草11.472
4その他野菜6.245
5イタリアンライグラス3.594
6ブロッコリー3.466
7薬用人参1.99
8自家用野菜1.913
9飼料1.608
10ほうれんそう1.545
11花き1.458
12いちご1.295
13ぶどう0.957
14アスパラガス0.922
15種苗類0.877
16うめ0.527
17そば(出荷用)0.517
18スーダングラス0.354
19未成熟とうもろこし0.335
20白ねぎ0.301
21飼料作物0.253
22野菜0.154
23くり0.101
24ばれいしょ(食用品種)0.05

大泉(145ha)

現状・課題: 宅地化による農地減少、耕作放棄地の管理課題。条件不利地もあり草刈り負担が重い。

将来像: 中間管理機構で集約化+売買支援。圃場整備とスマート草刈りで効率化。宅地化と競合するエリアは計画的に用途調整。

順位作目現在(ha・暫定下限)
1コシヒカリ24.393
2水稲12.329
3風の村米だより11.538
4小麦(収穫年)10.148
5青刈りとうもろこし9.299
6永年性牧草5.374
7そば(二毛作)3.385
8スーダングラス2.978
9大豆(出荷用)1.95
10そば(出荷用)1.6
11未成熟とうもろこし0.904
12ブロッコリー0.589

北原(47ha)

現状・課題: 土壌に石が多く耕作条件が悪い。小区画が多く、地権者調整コストが高い。鳥獣被害も比較的多い。

将来像: 団地化と圃場整備で集積しやすい地形へ。石の除去等は関係機関と技術・費用の最適解を検討。鳥獣対策は専門家と計画的に。

順位作目現在(ha・暫定下限)
1永年性牧草9.114
2とうもろこし4.94
3その他野菜3.956
4青刈りとうもろこし3.11
5コシヒカリ2.282
6りんご(矮化)1.64
7アスパラガス1.227
8野菜0.859
9未成熟とうもろこし0.804
10そば(出荷用)0.603
11その他果樹0.539
12種苗類0.519
13花卉0.51
14ハウス0.386
15くり0.248
16自己保全管理0.147
17トマト0.101