令和7年第4回議会定例会における、西森一博議員の一般質問です。
1 AIの活用について
(1)現時点でAIシステムを導入している業務があるのか。また、導入を検討している分野や今後の方針は。
現在のAIシステムの導入状況でございますが、まず「音声文字起こしツール」を導入しております。
専用のモバイル端末等を用い、会議の音声をAI技術により録音と同時に自動で文字化できるものでございます。
ウェブブラウザ上の編集画面に音声内容が即時に表示されるため、会議を進行しながら議事録の作成も可能です。
令和4年度からは長野県市町村自治振興組合による共同調達を活用しており、導入により議事録作成時間の短縮という効果が得られております。
また、中学校におきましては、テスト採点にAI技術を活用した「採点支援システム」を導入しており、教員の負担軽減に貢献しているところでございます。
次に、今後のAIシステム導入予定について申し上げます。
全庁的に職員が利用する対話型の生成AIツールにつきまして、導入の検討を進めております。
現在、長野県市町村自治振興組合を中心に構成されている「生成AI検討に関するワーキンググループ」に、本村の担当係長が参加し、共同調達の可能性も含め検討を深めているところでございます。
生成AIツールを活用することで、あいさつ文や通知文の校正、文書の要約、企画立案におけるアイデアの創出、議会対応時の情報収集、さらにはイラストや画像制作など、多岐にわたる業務において効率化が期待されます。
また、これまで個々の職員の経験や勘に依存していた業務の一定の標準化が図られ、職員が本来注力すべき企画・調整業務に時間を振り向けられるようになるなど、時間創出の効果も見込まれます。
こうした取組は、結果として住民サービスの迅速化や質の向上にもつながるものと考えております。
加えて、AIの活用は職員一人ひとりのデジタルスキルの向上にも寄与し、将来的な行政デジタル化の進展にも備えるものとなります。
一方で、情報セキュリティの確保は極めて重要でございますので、行政専用ネットワークであるLGWAN上で利用できるツールの選定など、安心して利用できる環境整備を進めてまいります。
また、AI活用の範囲や役割を明確にし、最終的な判断は人が行うという基本原則を徹底するなど、透明性と倫理性にも十分配慮してまいります。
導入にあたりましては、効果的かつ安全な運用のためのガイドラインを整備し、利用促進とリスク低減を両立させながら、段階的に進めてまいりたいと考えております。
(2)業務の効率化を進めることで、住民サービスの向上を図るという観点から、AI導入をどのように考えているか。
自治体にAI導入が求められる背景としては、人口減少に伴う職員数の縮小、専門的な人材の確保の難しさなどが挙げられます。
しかしながら、自治体には安定的で持続可能な住民サービスの提供が求められており、そのためには業務の効率化を進め、職員を単純事務から解放し、人が担うべき判断業務や地域課題の解決に集中できる環境を整えなくてはなりません。
AI技術を活用することで、文書作成やデータ集計などの定型業務を自動化できるほか、高度な判断への補助や背景となる課題分析など、業務の質を高めることができる可能性がございます。
AIが補完することで、限られた人員をより重要な業務へ当てることで、住民サービスの向上にもつながるものと考えております。
一方で、AIの活用には留意すべき点もございます。
判断根拠の透明性、情報セキュリティの確保、誤出力への適切な対応など、人間による最終確認と責任を欠かすことはできません。
こうした是々非々の観点を踏まえつつ、AI導入が職員の業務改善への意識を高める契機となり、持続可能な行政運営に寄与するよう、慎重かつ前向きに取り組んでまいりたいと考えております。
2 自治会の将来について
(1)地区ごとに「事務局」を設置し、日常的な業務を担う仕組みを導入する考えはあるか。
村では今年度から、自治会業務を日常的に担う人材として集落支援員の任用を本格的に進め、自治会への配置を開始いたしました。支援員が担っている業務は、西森議員がお示しになった「日常業務を担う事務局」に分類される内容に相当するものです。
今年度は北殿区、田畑区への配置を行いましたが、現場の状況を伺うと、事務文書の作成や公民館の環境整備などを担うことで、役員の負担軽減につながっているとの声をいただいております。
また、いずれの支援員も地元の方であるため、区の事情に精通していることが活動を円滑に進める大きな利点となっていると聞いております。
今後、12地区すべてに配置が進めば、結果として地区ごとに事務局機能が整い、日常業務を担う仕組みに近づくものと考えます。
ただし、この仕組みを正式に導入するかどうかは、あくまで各自治会のご判断によるものであります。
情報や権限が事務局側へ過度に集中することへの懸念も一部にあると承知しております。
今後も、各区の実情やご要望を丁寧に伺いながら、集落支援員による支援体制を通じて、自治会の活動をしっかりと支えてまいりたいと考えております。
(2)自治会活動の担い手減少が進む中、草刈りや環境整備などの活動を持続させるために、有償ボランティアとして住民の力を活用する仕組みについて、村長の見解は
自治会活動の担い手が減少する中、草刈りや環境整備といった地域活動を持続させるために、有償ボランティアとして住民の力を活用する仕組みについてのご質問でございます。
まず、公園や公民館周辺など、地域の皆さんの関心が高い公共的な場所において、住民の皆さんが有償ボランティアとして作業していただくことにつきましては、特段の異論はございません。
議員がお示しのとおり、有志で組織された団体が地域活動支援補助金を活用し、公園の岩撤去といった中規模の整備まで担っていただいている事例は、地域力が発揮された望ましい取り組みであると考えております。
一方で、論点となりますのは、「対象とする範囲や質」をどのように拡充していくかという点であります。
都市部では、自然が限られているため草刈りや環境整備の対象となる場所は比較的少なく、また人口密度が高いため、業者委託に必要な費用を確保しやすく、広い範囲で質の高い整備が行われております。
しかし、地方である本村は豊かな自然に恵まれている反面、草刈りや環境整備を必要とする場所が広範囲に及びます。
加えて、人口密度が低いため、自治体が費用を投じられる範囲にも限界があり、都市部と同様の業者委託方式を広範に展開することは困難であります。
議員におかれましても、この構造的な課題をご認識のうえで、有償ボランティアというご提案をいただいているものと受け止めております。
そのうえで、私の見解として申し上げれば、私たちは豊かな自然を享受している一方、その環境を維持していくためには、地域として一定の労力を担っていくことも、自然の恩恵を受ける者としての責任であると考えております。
とりわけ、自宅周辺や自治会区域内の草刈り・環境整備につきましては、これまでどおり地域の皆さんのご理解とご協力をいただきながら進めていくことが望ましいと考えております。
その上で、地域の負担を少しでも軽減するための方策としては、まず対象とする範囲を明確にし、地域の皆さんの関心が高い公共的な内容を優先して、有償ボランティアの活用や補助制度の効果的な運用を進めていくことが考えられるものと存じます。
また、その担い手をどのような体制で組織するかにつきましては、村で組織する方法、自治会が主体となる方法、有志団体による方法などさまざまな形が考えられます。
ここでは詳細には踏み込みませんが、村として組織する場合は、若い方にも届くような斬新な仕組みが必要であると考えております。
どちらにしても、地域の実情に応じてこうした取り組みを支えていく姿勢を持ちながら、持続可能な地域活動の在り方を皆さんとともに検討してまいりたいと考えております。
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