新しい地方経済・生活環境創生交付金(地域防災緊急整備型)を活用し、防災用コンテナ型トイレを購入のうえ、大芝公園内に設置します。

平常時は大芝公園の利用者向けトイレとして使用し、災害時には防災拠点のトイレの一つとして活用するほか、必要に応じて他の避難所への移設や被災地支援にも対応できる体制とします。
主な特徴
独立電源で稼働可能
太陽光発電と蓄電池を備え、停電時でも最大72時間の使用が可能です。
再生水による洗浄システム
し尿を分解・ろ過し、洗浄水として再利用する循環型トイレです。
1日あたり最大500回の使用が可能で、国の衛生基準にも適合しています。
バクテリアと膜処理のハイブリッド浄化
し尿の処理は、微生物(バクテリア)による分解処理と、高性能な膜処理(メンブレン方式)を組み合わせた方式です。
バリアフリー対応・男女別室完備
どなたにも安心してご利用いただけるよう、バリアフリートイレと洋式トイレをそれぞれ1室ずつ備えています。
移動可能なコンテナ構造
コンテナ型の本体は、大芝公園内での活用に加え、災害発生時には他の避難所や地域への移設が可能です。
心配される課題
バクテリア処理って冬でも大丈夫なの?
このトイレには、し尿をバクテリア(微生物)で分解する仕組みが備わっています。では、冬など使用が少なくなったとき、バクテリアはどうなるのでしょうか?
バクテリアはし尿が投入されない期間中は“休眠状態”になり、胞子化して生き続けるとのこと。細菌の種類によっては、非常に長期間にわたって胞子の状態を保てるそうです。
さらに、このトイレはバクテリア処理と膜処理(メンブレン方式)を組み合わせた仕組みになっており、仮にバクテリアの活動が一時的に低下しても、100%膜処理だけで洗浄水をつくることが可能です。時間の経過とともに自然にバクテリアも増殖し、再び働き始めます。
冬場の管理ってどうするの?
「水を抜いておかないと凍ってしまうのでは?」と心配される方もいらっしゃるかと思います。
このトイレは、冬季でも内部に水を保持したまま管理します。
実は、1日1~2回、自動的に水を循環させる機能が備わっており、これによって設備の凍結や劣化を防ぎながら、機能を保つことができるんです。
特別な操作や手間をかけずに、通年で安定した管理が可能です。
においやお掃除のこと、どうなってるの?
気になる「トイレのにおい」や「清掃の手間」についても、先進事例を参考にしています。
岐阜県七宗町の道の駅「ロックガーデンひちそう」を視察しました。ここも防災拠点として、同様のコンテナ型トイレを導入しています。
実際に現地で確認したところ、トイレ特有のアンモニア臭は感じられず、機械室(原水槽が収納されているスペース)でもにおいはほとんど気になりませんでした。必要に応じて、芳香剤や消臭剤も設置できる仕様です。
清掃についても、家庭用トイレと同じ感覚でお手入れ可能です。ぞうきんなどで床や壁を拭き上げる方法で、水を直接床に流すことはNGです。
また、便槽内には必要に応じてクエン酸を少量投入することで、バクテリアの働きを安定化させています。
なお、洗浄水は処理基準を満たした安全なものですが、繰り返し再利用することで多少色味がついてくることがあります。そこで、市販の青色着色剤(ブルーレット等)を使うことで、見た目にも清潔感が保てるようにしており、実際に道の駅「ひちそう」でも青色の洗浄水が使われていました。
まとめ
この防災用トイレの整備により、村の災害対策力の強化とともに、日常の公園利用における快適性・利便性の向上を図ってまいります。
なお、大芝高原の常設トイレについても、現在改修に向けて設計を進めていますので、よろしくお願いします。
