土地改良区による農業用水の揚水について

南箕輪村が位置する伊那谷(伊那盆地)は、西に中央アルプス、東に南アルプスを望む盆地で、地形が急峻で扇状地でもあることから、水の確保が難しい地域です。

揚水施設の整備

水利権の関係もあり、標高の高い地域では十分な水の確保が難しいと判断されたことから、標高の低い黒川(天竜川)から農業用水をくみ上げるための揚水場等の施設整備が計画され、昭和43年から農林省の直轄事業として始まり、昭和62年に完成しました。

上図の下部にある赤い太線(送水路)が上方と右方に伸びている地点が、南箕輪村の田畑に設けられた第1揚水場です。

ここで黒川から取水し、まず西(上)方向へ水を揚げた後、北(右)と南(左)へと送水しており、北は辰野町、南は伊那市までの広範囲に及んでいます。

下図は、水をどの程度の標高差まで揚げているかを示したものです。

標高650メートルの第1揚水機場から、標高832メートルの第2揚水場まで水を揚げ、さらにそこから標高917メートルの第2吐水槽まで揚水しています。

なお、全国的にも、250m以上もの標高差を揚水している地域は他に例があまりありません。

今後の見通し

過去は稲作が主な目的でありましたが、近年はアスパラガス等の野菜でも農業用水が必要となっており、揚水時期(4月−9月)の検討が行われていますが、水を揚げるための電気代を考えると、なかなか難しいというのが現状です。