2021年4月に南箕輪村長に就任し、2年が経過しました。村政報告として、これまでの活動をまとめましたので、お知らせします。
村政報告
人口の推移
まず、村の人口でありますが、昨年10月に初めて16,000人台となり、その後順調に推移しています。
生産年齢人口の流入が多いことから、高齢化率が23.9%から23.6%に低下するなど、少し驚く現象が起きています。
また、人口の増加以上に納税義務者が増えており、このことが村税の増加につながっています。
子育て政策
子どもの医療費助成を完全無料化
子どもの医療費助成における500円の自己負担金を無料としました。
無料としたことで年間1,500万円ほど村の支出が増えると試算していましたが、実際はそこまで増加はしていません。
コンビニ受診が増えるとの意見もありますが、一人の親として子どもを病院に連れていくこと自体を負担と捉えていることもあり増えていかないと考えていますし、実際に増えておりません。
風の村米だよりの提供(保育園)
各家庭にお願いしていた保育園へのお米の持参を止め、村の特別栽培米である「風の村米だより」を提供する形に変更しました。
また、未満児さんの給食で使うお米も、全て風の村米だよりに変更しました。
風の村米だより
風の村米だよりは、有機質肥料(鶏糞、米ぬか)を用いて、化学肥料を使わず減農薬で、農事組合法人まっくんファームを中心に村の農家の皆様が手塩にかけて育てていただいている食味の良いお米です。
大阪の泉大津市でも、学校給食に村のお米を購入いただいています。
マタニティ応援お米プロジェクト
令和5年11月から、妊婦の方を対象に、風の村米だよりの配布(5キロ)を行います。
また、アンケート調査にご協力いただくと、出産までの間、継続して5キロから10キロ(予定)の風の村米だよりを毎月お届けします。
おむつの持ち帰りを廃止
使用済みのおむつの持ち帰りを無くしました。
ファミリーサポートセンターへの助成
子どもの預かりや送迎を行うファミリーサポートセンターの利用について1回300円の助成制度を設けました。
これまでは1時間700円でしたが、400円で利用できるようになりました。
教育政策
全校にICT支援員を配置
小学校、中学校全校に村独自でICT支援員を配置し、子どもたちのICT活用を促進しています。
理科備品の整備
中学校では理科室の備品整備に力を入れています。
体育専科教員を全校配置
小学校では全校に村独自で体育専科教員を新たに配置し、担任の先生と2人体制で体育の授業を行っています。授業の質の向上、運動が苦手な子へのサポート、担任の先生の指導力向上につなげたい思いで採用しました。
自治会負担軽減
衛生係
自治会の負担軽減を進める中で、まずは負担の大きい衛生部長にお願いしていた不法投棄のゴミの分別を村役場にて行う形に変更しました。
すこやか係
すこやか係にお願いしていた健診のとりまとめを、個人情報に配慮し、郵送で行う形に変更しました。
パンフレット制作
新たにカラーで分かりやすい 転入者向けのパンフレットを地区別に制作しました。
令和5年度から抜本的な改善を行う検討会を立ち上げ、自治会に関わる負担軽減と不公平感の是正を進めていきます。
真正面から向き合った課題
課題1 住宅団地の焼却灰
村長就任から半年も経たないうちに焼却灰が再出現し正直大変困惑しました。 私が出来ることは真正面から向き合い、そして相手の立場に立って、真摯に対応を進めることでした。 結果、多くの住民が生活を継続していただけることになり また村が負担する補償費用が過大となることも同時に防ぐことができました。
2023年8月現在、土地を購入いただいた皆様への各種補償手続きは完了しています。
課題2 新型コロナウイルス対応
支援事業他
支援事業では、住民への再配分を意識しました。例えば商品券は2,000円を5,000円に増額し2回実施しました。商工会と連携してスタンプラリーも行いました。
ワクチン接種
ワクチン接種は、新たに集団接種会場を大芝荘に設置することで住民の接種希望に応えると同時にスポーツ施設や公民館等が、接種で利用できなくならないようにしました。
課題3 第三セクターの経営悪化
第三セクターの経営が、自己資本がなく債務超過になるかの瀬戸際、コロナで見通しがつかない、従業員の意欲低下と大変厳しい状況でした。 まずは大芝荘を休業し赤字を抑制しました。経営改善プランをつくり、新しい事にチャレンジしやすいよう経営体制を刷新しました。
結果、令和4年度は黒字化し、経営は改善傾向にあります。
大芝荘の近年の営業利益他
休業による赤字圧縮(3ヶ月)
大芝荘については、近年は右肩下がりで利用者が減少していた中、コロナの影響で底が抜け、自己資本もないことから、先の見通しが立たない状況であったたことから、休業を判断しました。
休業後、3ヶ月で1500万円の赤字圧縮となりましたが、休業を決めた2020年6月から2023年5月までのおよそ3年間はコロナによる特別な期間が続いたことを考えますと、仮に営業を継続していた場合、億単位での赤字を計上していたと推測されます。
安全対策
村道10号線交差点改良(令和4年度竣工)
南部小学校開校時(平成8年)から危険とされていた、神子柴と沢尻の境にある交差点の改良を行いました。
担当職員が熱心に取り組んだ結果、コストを圧縮することができました。
大型のキャリアカーや伊那インター工業団地へ通勤する車も増加しており、危険度が増加していましたが、地域の皆様の協力も受け、早急に取り組むことができました。
中部保育園西道路改良(令和4年度竣工)
カーブのため見通しが非常に悪かった県道の交差点改良が実現しました。これまで要望活動にご協力いただいた皆様に感謝いたします。
国道153号線塩ノ井地区歩道設置(令和5年度竣工予定)
塩ノ井セブンイレブン前交差点において、歩道設置工事が進んでいます。右折レーン設置についても引き続き検討が必要な状況です。
北殿駅南踏切付近歩道設置&道路改良(事業化決定)
道路改良で見通しを改善し、歩道設置することで、通勤通学時の安全性を向上させます。
国道361号歩道設置(事業化)
国道361号の南原地区において、歩道設置が事業化されました。住宅が増えており、子どもたちの通学時の安全確保にもつながります。
県道南箕輪沢渡線道路拡幅歩道設置&大清水川河川改修(事業化)
地元住民の長年の要望であった箇所の事業化が決まりました。大清水川は急峻で蛇行しており川幅も狭いため、過去には護岸の洗掘や暗渠がつまり床下浸水の被害もあった箇所です。
新しい変化
防災
個別避難計画の策定を開始
ひとりで避難が難しい方へ個別避難計画の策定を新たに始めました。
一人ひとりに対して避難計画を策定するため、終わりのない作業にはなりますが、ひとつ一つ取り組んでいきます。
消防団の処遇改善
年間報酬を増額し、出動手当を時間単位で支払うなど、消防団の処遇改善を行いました。
また、消防に関する資格取得に対して助成制度を新設しました。
不妊治療支援
不妊治療費用が保険適用になったことに伴い、より手厚い支援となるよう、村の不妊治療支援制度の見直しを行いました。
公共施設LED化
地球温暖化対策および電気代圧縮を主な目的として、公共施設のLED化を新たに令和4年から3年間かけて集中的に進めています。
並行して地球温暖化対策に関する計画を立てており、令和7年度から新事業を実施していきます。
おでかけ村長室
ご意見、ご要望を12地区の公民館で執務をしながらお伺いしています。
人事
管理職と人事ヒアリングの場を設け人事異動を円滑かつ効果的に行えるようにしました。
全職員と個別面接も始めました。
ICT化
Wi-Fi環境を村役場、村民センター、村公民館、12の地区公民館、図書館そして大芝高原に整備しました。今後、村民体育館や保育園にも整備します。
村が保有する情報のオープンデータ化や保存文書の電子化を進めています。
スポーツ施設等の空き情報をネットで確認できるようにしました。
情報発信&交換ツールとしてLINEを導入したほか、保育園&小中学校にすぐーるを導入しました。
福祉入浴券
福祉入浴券を温泉だけでなく、買い物にも利用できるようにしました。
これから
10年後を見据えて
基金残高の推移
村長に就任した令和3年度(令和2年度末)から2年間で4億5千万円、財政調整基金の積立を行いました。
また、特定目的基金は、学校給食センター建設のため取り崩していますが、令和3年度と令和4年度の一般財源を充てることにより、全て取り崩すことなく建設を進めることができる見込みです。
これら積み立てた基金を活用し、これからの様々な事業に積極的に取り組んでまいります。
松枯れ対策
まずは大芝高原の上空からドローンで2023年6月に撮影した25秒の動画をご覧ください。
大芝高原のアカマツの松枯れが急速に進んでいます。現在の環境で松枯れを防ぐ有効な手立てはなく、枯れる前に木材として活用するか、枯れてから伐採するかの判断を迫られています。
大芝高原の森林は先人が「未来の学校のために」という想いで植林され、これまで村民の手によって育てられてきました。
大変難しい判断となりますが、伐採後の植林を前提としたうえで、木材として机の天板や建築材、おもちゃ、炭など、様々活用していく方向に舵を切りたいと考えています。
また、村政150周年を機に大芝高原森林づくり実施計画を策定し、ゾーンごとに植林を進め、200周年を目標に50年の森林循環事業を構築していきます。
大芝高原森林づくり計画の内容説明は、各公民館等で説明会を実施してまいりたい意向です。
大芝高原整備
大芝高原施設整備計画に基づき、令和5年度にはアスレチック、6年度から大型遊具とバリアフリー園路の整備を進めます。
誰でも1日中楽しめる、自然の美しい、憩いの場所を守ります。
自治会負担軽減
行政が自治会に協力を依頼している業務や自治会内の運営については、3世代同居で農家中心だった頃と大きく変わっておりません。現在は核家族化が進み、高齢者のみの世帯も増えています。時代にあった形となるよう、さらに10年先も見据え、令和5年度から2年間かけて改革を行っていきます。
窓口一元化
社会福祉士や保健師を中心に福祉の窓口一元化を進め、伴走型支援を行えるようにしていきます。
保健師を中心に子どもの窓口一元化を進め、将来的にはネウボラを実施できる体制を整えていきます。
公共交通の再整備
ドア・ツー・ドアの移動サービスを充実させ、熟年者の足を確保します。
健康づくり事業の拡大
健康づくり事業を拡大し、人気講座を増やし、住民の健康増進と医療費、介護費の軽減につなげます。
地域公園の創設
人口が増加しているエリアに150周年を記念して地域公園を整備します。
おわりに
村長の重責を日々感じながら様々な課題に向き合った2年間でした。
大型工事の新学校給食センターの建設を進める中ではありますが、将来のために様々工夫し健全財政の維持に努めた結果、基金を2億円積み立てることができています。
今後は、村民や議会の皆さんの意見をより大切にしながら、若い発想を活かし村政を進めていきます。
2023年8月17日 文責 藤城
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