ウイルスの収束時期が見えない中、ニュースでは2022年まで自粛の可能性が示唆されるなど、対応が長期化する恐れが高まっています。
私は、来年になっても収束しないことを見越して、まずは朝の学活だけでも、学校のオンライン授業化を順次進めていかなくてはならないと強く感じています。
さらに、南箕輪村議会もオンライン会議を導入しなくてはならないと考え、議会で検討提案したところ、私が情報委員長である立場であることも後押しして、意外とあっさり了承を得ることができました。
BCP(事業継続計画)的にもオンライン会議の導入は重要ですが、田舎のとある村議会が、いち早く対応を進めることで、学校のオンライン授業化への後押しに繋がればと願っているところです。
現状、議会活動以外の仕事は、全てオンライン会議に切り替えが完了しており、正直それほど難しい話ではないのですが、学校授業は仕事のように限られた強制力のある対象ではなく、ありとあらゆる人たちが対象となりますので、そんな簡単にはいきません。
住民の代表である議員も様々な方がいるため、その縮図とも見ることができ、課題の可視化に役立ちます。
課題
出席の解釈
議会、学校共にオンラインでも出席の解釈が問われています。特に議会は、下記のとおり法律等で定められているため、オンラインへの対応が苦労しそうです。
地方自治法
議会のオンライン化には、地方自治法に定める「出席」の解釈が課題となります。
地方自治法
第113条 普通地方公共団体の議会は、議員の定数の半数以上の議員が出席しなければ、会議を開くことができない。
地方自治法より引用
また、村の会議規則でも、同様に縛りがあります。
南箕輪村議会会議規則
第1条 議員は、招集の当日開議定刻前に議場に参集し、その旨を議長に通告しなければならない。
南箕輪村議会会議規則より引用
本会議は議場に参集し、という明確な場所の記載があるため、オンラインを導入するには、まずは、これを改正する必要があります。
ただ、通常の委員会活動においては、場所は議場ではなく、委員長が改めて定めることになっており、参集の記載もありません。そのため、こちらは本会議より、柔軟な対応ができそうです。
南箕輪村議会会議規則
第63条 委員会を招集しようとするときは、委員長は、開会の日時、場所、事件等をあらかじめ議長に通知しなければならない。
南箕輪村議会会議規則より引用
招集、所謂「招く」の解釈の問題になりますが、出席などに比べれば、オンライン会議上に招く、という表現は通常利用していますので、ハードルは低いのかなと思います。
こういった解釈(=言葉遊び)は馬鹿馬鹿しいですが、共通言語である以上、避けられません。
総務省が委員会のオンライン会議を認める通知
総務省が4月30日にオンライン会議を委員会については認める(本会議はNG)通知を出しました。それに伴い、地方議会では下記の課題をクリアすれば、オンライン会議が委員会では可能になります。
課題
・委員会条例の改正および会議規則の変更
・議員の本人確認およびセキュリティー面への対策
条例改正案
委員会条例は、下記のような条文を追加すればいいのではないかと考えています。会議規則については、なるべく変更点が少なくなるような切り口を模索中です。
(オンライン会議システム等の利用)
第 条 委員会が開催された場所に存しない委員が、オンライン会議システム等の利用により当該委員会に出席しようとするときは、委員長の許可を得なければならない。
2 委員がオンライン会議システム等の利用により当該委員会に出席する場合には、当該会議に出席する各委員の音声及び映像が即時的かつ双方向的に伝わり、互いに適時的確な意見表明が行える環境を確保したうえで、審議に入るものとする。
スマートフォン(タブレット)を持っていない。
物理的な課題を次にあげます。
オンライン授業(TV会議)を行うには、カメラのついたパソコン、スマートフォン、タブレットが必須となります。
南箕輪村議会でも調査したところ、30%(3人)所有していないことが分かりました。
学校でオンライン授業を行うにしても、親が普段使いしているスマートフォンなどは、利用できないケースが、共働きなどでは多く想定されますので、恐らく30%〜50%程度の家庭へは、何らかの対応が必要になると考えています。
南箕輪村議会の対応としては、3台のレンタルデバイス(私が利用しなくなったタブレット、妻が利用しなくなったスマートフォン、もう一台は探し中)を、緊急時なので用意して対応する予定です。
→各議員が自己負担で揃えることに申し合わせで決定しました。
学校においても、インターネット環境がある家庭へは(後述)、数十台はすでにタブレット端末が学校にありますので、レンタル対応が現実的なのかと思います。
なお、遠隔教育について、内閣府でも対応が進められていますが、そんなに早くアクションにはつながらないでしょう。
文部科学省でスタートしたばかりの、児童全員に端末を用意する、GIGAスクール構想がさらに加速すればいいのですが。
エンドユーザー側にインターネット環境が整っていない。
次はこの課題です。
オンライン授業(オンライン会議)を行うには、インターネット環境も必須となります。
南箕輪村議会でも調査したところ、20%(2人)整っていないことが分かりました。
正確に表現すると、スマートフォンに付随したネット環境はあるが、光回線などの自宅に紐づく回線を引いていない割合が20%となります。
テレビ会議の通信量は有名どころであるZOOMなどは、1時間で0.5GB程度は使用するらしいので、スマートフォンに付随したネット環境では、いささか不安が付き纏います。
容量無制限の光回線のインターネットを引くにも、それなりの費用が掛かりますので、これを強制する訳には行きません。
→各議員が自己負担で揃えることに申し合わせで決定しました。
南箕輪村議会では、インターネット環境がない方には、村役場にきていただき、そこでTV会議してもらうことを想定することにしました。
学校においては、一部の限られた児童は通学する形とする答えしか、今は私の中ではありません。
ホスト側に十分なインターネット環境がない。
次はこの課題です。
南箕輪村役場(絶対)や各小中学校(多分)においてWifi環境はなく、インターネット環境が整っているとは言えません。→学校はwifiが設置されました。
もちろん役場のパソコンはインターネットにつながってはいますが、県のサーバーに切り替えたあたりから、亀のように遅い回線となっており、セキュリティの関係からTV会議は弾かれそうですし、そもそもカメラがついていません。
小中学校のインターネット環境が現状どうなっているのか、これから調査する段階です。
なお、南箕輪村議会で実際に行うオンライン会議には、議員だけでなく、職員も事務局として参加しますので、とりあえずポケットWifiを持ち込んで対応しようと考えています。→役場のインターネット環境で対応する。
ホスト側に予算がない。
ポケットWifiを導入するにしても、それなりの予算が掛かってきますが、今年度南箕輪村ではそんな予算をとっていないため、対応できません。
南箕輪村議会では、緊急時なので、予算が取れるまでは私のwifiとシステム契約で対応予定ですが、いいことではありません。
学校においても、インターネット環境が不十分な場合は、改めて予算をとっての対応が必要となリます。
→ZOOMなどのシステム利用料の予算獲得のため、補正が必要です。
課題(番外編)
支給タブレットがインターネットにつなげない。
南箕輪村の村議会議員には全員Ipadが支給されているので、最初はそれを利用したいと考えていました。
ただ、残念なことに、このIpadはインターネットにつなげると、利用しているシステムが作動しなくなるので、繋ぐことができないとのこと。(あほー!)
システムといっても、条例や規則を見るだけのものですので、それなら高価なIpadをわざわざ税金で利用する必要は全くないし、もっと安いモノクロ表示のタブレットで十分ではないかと思います。
本当にざんねん。
2020年4月15日 文責 藤城
2020年4月26日 追記 藤城
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