「お盆を過ぎたら涼しくなる」。
南箕輪村でも、暮らしの実感として語り継がれてきた言い回しですが、近年は本当に成り立っているのでしょうか。
気象庁の2009年〜2024年の「8月の日ごとの気温グラフ(最高・平均・最低)」を参考に、お盆明け(概ね8/16〜20)の気温の変化をたどりました。
結論を一言で言えば、朝晩(最低気温)は和らぎやすい一方、日中(最高気温)は年によりけりで固定パターンはみられなかったとなりました。
調べ方
- 対象:2009〜2024年の8月、伊那の日別の最高・平均・最低気温。
- 着目期日:8/16〜8/20を中心に、その前後1週間ほどの変化を確認。
- 判定の目安:
- 「涼しくなる」年=最高気温が3℃前後以上下がり、数日〜1週間程度持続。
- 「一時的に涼むがぶり返す」年=中旬〜下旬に明確な谷はあるが短期で再上昇。
- 「むしろ盆明けピーク/高止まり」年=お盆明けに再上昇し真夏日・猛暑日相当が継続。
※グラフ目視に基づく実務的な判読です。細かな数値は便宜上の表現とし、型の違いに注目しています。
総括(まとめ)
- 明確に涼しくなった:2009、2011、2021、2024(3〜4年)
- 一時的に涼むがぶり返した:2012、2014、2015、2016、2017、2018、2019、2022(7〜8年)
- むしろ盆明けに暑さの山/高止まり:2010、2013、2020、2023(4年)
→ 「お盆明けに日中を含めてぐっと涼しくなる年」は少数派となりました。多くの年は短い谷のあとに気温が戻るか、むしろ残暑が強まってしまうのが近年の実態です。
一方で、最低気温(朝晩)はじわり下がる傾向がしばしば見られ、体感として「朝晩は楽になった」印象は残りやすい、と言えます。
年ごとの要点メモ
※「最高=赤」「平均=黒」「最低=青」を主に参照。
2009(明確に涼しくなった)
下旬に向け低下していくことが明瞭であった年。朝晩も日中も落ち着く日が増え、盆明け「涼」の年であった。

2010(むしろ盆明けに暑さの山/高止まり)
高温が持続するだけでなく上昇していった年。お盆明けも真夏日・猛暑日域が長く、残暑が厳しい年であった。

2011(明確に涼しくなった)
20日前後で急降下し、数日はっきり涼しかった年。再上昇はするが、“涼”の持続が比較的長い年であった。

2012(一時的に涼むがぶり返した)
中旬に谷は入るが、その後速やかに持ち直し、比較的暑かった年。一時的な“涼”であった。

2013(むしろ盆明けに暑さの山/高止まり)
盆明けもしっかり暑い年。月末手前でようやく谷がきたが高止まり傾向が目立つ年であった。

2014(一時的に涼むがぶり返した)
中旬に小さな谷があったが元へ戻った年。朝晩は楽だが、日中は戻る年であった。

2015(一時的に涼むがぶり返した)
お盆前後にはっきりした谷が入るが、波を打って再上昇した年。典型的な“一時涼”であった年。

2016(一時的に涼むがぶり返した)
15日前後で谷に入るが戻った年。最低は下がるが、最高は不安定に上下した年であった。

2017(一時的に涼むがぶり返した)
小さな谷でいったん和らぐが、すぐ復帰した年。ぶり返し型であった。

2018(一時的に涼むがぶり返した)
16〜18日にガクッと涼むが、20日以降に再上昇した年。短期の“涼”とぶり返しの混合型であった。

2019(データ欠損により不明)
下旬へ向け緩やかに低下したが決定打に欠いた年。日中は暑さが行き来した年であった。

2020(むしろ盆明けに暑さの山/高止まり)
14日以降上昇し、20日前後がピークであった年。盆明けピーク型の典型例となった。

2021(明確に涼しくなった)
11〜17日を中心に長めの涼しい時期となった年。月末は持ち直すが、「涼しくなった」と言いやすい年。

2022(一時的に涼むがぶり返した)
小さな波が連続し、決定的な下がり込みはなかった年。最低はやや下がり、朝晩のみ“涼”であった。

2023(むしろ盆明けに暑さの山/高止まり)
16〜22日ごろに強い暑さの山があった年。残暑本番の色合いが濃かった。

2024(明確に涼しくなった)
22日ごろまで暑さが継続し、25〜29日に明確なに涼しくなった年。
「お盆“直後”は暑かったが、月末手前でガクッと下がるパターン。

見えてきた気候の“型”
- 最低気温は下がりやすい
8月半ばを過ぎると日照時間が短くなり、夜の放射冷却が効きやすくなります。青線(最低)が20℃前後へ近づく場面が増え、朝夕は楽になると言えます。このことが、お盆明けに体感で「涼しくなった」と言える根拠であると言えます。 - 最高気温は天気次第で大きく変わる
赤線の動きは年ごとの振れが大きくなっています。 - 水準の上昇(温暖化)
近年は「谷の深さ」よりも「戻りの早さ」が目立ちます。以前なら秋の入り口に見えた局面でも、すぐに30〜35℃へ復帰する年が増え、「前ほど涼しくない」と言えます。
お盆明け=涼しいは語り継がれるのか
「お盆を過ぎたら“日中まで”涼しくなる」わけではないが、「お盆を過ぎると朝晩は少し和らぐことが増える」ため、今後も語り継がれていくのではないでしょうか。
実際に涼しくなる年も3年に1回くらいありますので。
