全国治水砂防協会主催により、通常総会が5月に、全国治水砂防促進大会が11月に、毎年砂防会館で開催されています。
5月、11月は道路、治水、砂防、防災など、東京へ出張し、総会を経て、国へ要望活動するという日々が続きます。
毎度、来場者数が会場キャパシティを超えており、大変狭い中での開催となり苦しい環境での参加となります。
特別講演「新たな防災気象情報をめぐって」
気象業務支援センター理事長 長谷川直之 氏
2026年5月は大会に先立ち、長谷川氏による特別講演「新たな防災気象情報をめぐって」が開催されました。
今年5月末に気象庁等から発表される防災のための気象情報(防災気象情報)が新しくなります。
(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/keiho-update2026/index.html)
防災気象情報の大きな2つの役割
災害軽減のために予めお知らせする情報である。
気象庁単独で発表するものもあれば、国土交通省などと連携して発表するものもある。
役割は大きく2つあり、一つは避難情報の判断の材料であり、もう一つは住民への周知である。
警戒レベルの統一
河川氾濫、浸水、土砂災害、高潮について、レベル1からレベル5までの名称が統一されました。(これまではレベル5でもレベル4でも特別警報があるなど、バラバラだった)
- レベル5 特別警報
- レベル4 危険警報
- レベル3 警報
- レベル2 注意報
- レベル1 警戒
土砂災害情報の変化
これまでレベル3の情報に空振りが多かったため、レベル4に達しないようなレベル3を出さない方向に改善を行った。
そのため、レベル2から一気にレベル4などの事象が生じることも考えられる。
洪水警報はなくなる
指定河川以外の河川は大雨警報の中で情報を提供していくようになります。
指定河川400河川は5段階での河川単位での発表となる。(市町村ごとではなくなる)
防災気象情報のこれまでの改善
気象に関する警報等の防災気象情報は、1883年(明治16年)に東京気象台が「暴風警報」の制度を定め、同年5月26日に発表したことが始まりです。
そして、様々な気象災害の経験や気象業務法の制定などを通し、情報やその名称が改善・整理されていき、1952年(昭和27年)には、大枠として「警報」と「注意報」という二段階の情報で気象災害のおそれのあることを知らせる仕組みができあがりました。
その後、大雨や台風などによる災害の教訓を踏まえて、少しずつ情報の改善が行われてきました。その改善には精度の向上、発表区域の細分化などいくつかの方向性がありますが、情報を段階的に発表して効果的に避難等の行動に結びつけようとしてきたことも大きな方向性の一つです。
気象や災害の危険度を100%の精度で予測することはできません。そのため、災害発生を必ずとらえようとすれば、発表基準を低くして発表の頻度を増やす必要があり、そうすると警報が軽視されることになりがちです。逆に基準を高くすると、災害をとらえきれなくなってしまいます。
また、災害発生の間近まで雨の降り方を確認して情報を出せば精度は上がりますが、それでは避難が間に合わなくなります。そうしたトレードオフの関係の中で、有効な情報発表をめざした改善が進められました。
例えば2005年(平成17年)には、大雨警報が出ている中で特に土砂災害への警戒を高めるため、都道府県の砂防部局と協力して「土砂災害警戒情報」を発表するようになりました。
特別講演「日本の火山防災について」
東京大学名誉教授/山梨県富士山科学研究所 所長 藤井 敏嗣 氏
2025年11月は大会に先立ち、藤井敏嗣氏による特別講演「日本の火山防災について」が開催されました。
日本の火山防災の枠組み
日本における火山防災は、次の三つの柱によって構成されています。
- 気象庁による監視・観測および火山情報の発表
- 各火山ごとに設置されている法定火山防災協議会と自治体による防災対策
- 内閣府(防災担当)による助言・支援
現在、噴火警戒レベルは全国49火山で設定されており、まもなく鹿児島県の火山が加わり、50火山となる予定です。
レベル区分は以下の通りです。
- レベル5:避難
- レベル4:高齢者等の避難
- レベル3:入山規制
火山防災の歩み
日本の火山防災の始まりは、1977年の有珠山噴火にさかのぼります。この際、避難措置を拒否した町長もいたことから、「反面教師」として多くの教訓を残しました。
その後、北海道の駒ヶ岳周辺の5自治体が危機感を共有し、日本で初めてハザードマップを作成しました。これを契機に、火山防災に関する事前学習や防災教育が進み、2000年以降の火山災害被害の軽減につながっています。
現在の監視体制と火山活動の傾向
気象庁は現在、51の活火山を24時間体制で監視しています。近年は九州地方で噴火が続いている一方、北海道や東北地方では活動の「空白期間」が生じています。
「我々は大規模噴火を知らない」と藤井氏は指摘します。近年で比較的大きなものは2013年の小笠原・西之島の噴火であり、それ以外は小規模です。噴火指数(VEI)4以上の噴火は近年発生しておらず、雲仙普賢岳(1991年)は5年間で4億トンの噴出量を記録し、ようやく指数4。1707年の富士山噴火では指数5に達しました。
本来であれば、21世紀のこの四半世紀の間に4〜6回の大規模噴火が起きていてもおかしくないとされており、「私たちは“まともな噴火”をまだ経験していない」と警鐘を鳴らしました。
法改正と富士山噴火への備え
2023年には活火山法が改正されました。これまでの改正が噴火発生後の対応を踏まえたものであったのに対し、今回は予防的措置として行われた点が特徴です。
富士山の大規模爆発的噴火では、火山灰が首都圏にも及ぶと想定されています。富士山はこれまでおおむね30年に一度噴火していましたが、現在はその10倍以上の期間活動がなく、強い危機感が示されました。
これを踏まえ、「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」が策定されました。降灰の堆積量に応じてステージ1〜4に区分され、30センチ以上の堆積でステージ4(原則避難)とされています。火山灰が水を含むと家屋倒壊の危険が高まり、ステージ3以下では自宅待機が基本とされています。
火山防災の課題
藤井氏は最後に、日本の火山防災における課題として次の点を挙げました。
- 気象庁内に火山の専門家が少ないこと
- 長期にわたる火山活動の低迷期を経たため、噴火対応の現場経験を持つ人材が乏しいこと
これらを踏まえ、今後は火山防災の専門人材育成と組織的な知見の継承が重要であると強調しました。
特別講演 「いのち」と「くらし」と「なりわい」を守る砂防
国土交通省 砂防部長 國友 優 氏
2025年11月には、土砂災害発生件数の推移について説明がありました。
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平成17年から平成26年の年平均1,049件と比較して、平成27年から令和6年については年平均1,524件と、約1.5倍に土砂災害の発生件数が増えていると報告がありました。
また、資材価格・人件費高騰についても言及がありました。
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