全国治水砂防促進大会が砂防会館で開催されました。
11月は道路、治水、砂防、防災など、東京へ出張し、総会を経て、国へ要望活動するという日々が続いておりますが、その締めくくりとなる大会となり、疲労が堆積していますが、これでやっと帰れると安堵しています。
毎度、来場者数が会場キャパシティを超えており、大変狭い中での開催となり苦しい環境での参加となります。
特別講演「日本の火山防災について」
東京大学名誉教授/山梨県富士山科学研究所 所長 藤井 敏嗣 氏
大会に先立ち、藤井敏嗣氏による特別講演「日本の火山防災について」が開催されました。
日本の火山防災の枠組み
日本における火山防災は、次の三つの柱によって構成されています。
- 気象庁による監視・観測および火山情報の発表
- 各火山ごとに設置されている法定火山防災協議会と自治体による防災対策
- 内閣府(防災担当)による助言・支援
現在、噴火警戒レベルは全国49火山で設定されており、まもなく鹿児島県の火山が加わり、50火山となる予定です。
レベル区分は以下の通りです。
- レベル5:避難
- レベル4:高齢者等の避難
- レベル3:入山規制
火山防災の歩み
日本の火山防災の始まりは、1977年の有珠山噴火にさかのぼります。この際、避難措置を拒否した町長もいたことから、「反面教師」として多くの教訓を残しました。
その後、北海道の駒ヶ岳周辺の5自治体が危機感を共有し、日本で初めてハザードマップを作成しました。これを契機に、火山防災に関する事前学習や防災教育が進み、2000年以降の火山災害被害の軽減につながっています。
現在の監視体制と火山活動の傾向
気象庁は現在、51の活火山を24時間体制で監視しています。近年は九州地方で噴火が続いている一方、北海道や東北地方では活動の「空白期間」が生じています。
「我々は大規模噴火を知らない」と藤井氏は指摘します。近年で比較的大きなものは2013年の小笠原・西之島の噴火であり、それ以外は小規模です。噴火指数(VEI)4以上の噴火は近年発生しておらず、雲仙普賢岳(1991年)は5年間で4億トンの噴出量を記録し、ようやく指数4。1707年の富士山噴火では指数5に達しました。
本来であれば、21世紀のこの四半世紀の間に4〜6回の大規模噴火が起きていてもおかしくないとされており、「私たちは“まともな噴火”をまだ経験していない」と警鐘を鳴らしました。
法改正と富士山噴火への備え
2023年には活火山法が改正されました。これまでの改正が噴火発生後の対応を踏まえたものであったのに対し、今回は予防的措置として行われた点が特徴です。
富士山の大規模爆発的噴火では、火山灰が首都圏にも及ぶと想定されています。富士山はこれまでおおむね30年に一度噴火していましたが、現在はその10倍以上の期間活動がなく、強い危機感が示されました。
これを踏まえ、「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」が策定されました。降灰の堆積量に応じてステージ1〜4に区分され、30センチ以上の堆積でステージ4(原則避難)とされています。火山灰が水を含むと家屋倒壊の危険が高まり、ステージ3以下では自宅待機が基本とされています。
火山防災の課題
藤井氏は最後に、日本の火山防災における課題として次の点を挙げました。
- 気象庁内に火山の専門家が少ないこと
- 長期にわたる火山活動の低迷期を経たため、噴火対応の現場経験を持つ人材が乏しいこと
これらを踏まえ、今後は火山防災の専門人材育成と組織的な知見の継承が重要であると強調しました。
特別講演 「いのち」と「くらし」と「なりわい」を守る砂防
国土交通省 砂防部長 國友 優 氏
土砂災害発生件数の推移について説明がありました。
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平成17年から平成26年の年平均1,049件と比較して、平成27年から令和6年については年平均1,524件と、約1.5倍に土砂災害の発生件数が増えていると報告がありました。
また、資材価格・人件費高騰についても言及がありました。
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