南箕輪村独自の「福祉入浴券事業」について考えてみる。

南箕輪村では、高齢者や障がいのある方などの福祉の向上を目的として、村独自で「福祉入浴券事業」を実施しています。

対象となるのは、70歳以上の方、身体障害者手帳4級以上の方、療育手帳または精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方で、毎年、大芝の湯を利用できる入浴券を5回分交付しています。

大芝の湯で温泉を楽しんでいただき、外出や健康づくりのきっかけにしていただくことが目的です。

また、温泉を利用しない方にも使っていただけるよう、この入浴券は1枚200円分の買い物券として、大芝高原内で利用することもできるようになっています。

村では、この事業に年間約300万円の予算を計上しています。

「入浴券」でよいのか

長く続いてきた制度ですが、改めて考えてみると課題もあります。

一つは、対象となる方の中には、身体の状況などによって「そもそも温泉に入ることが難しい」という方もいることです。

例えば70歳以上という年齢だけで考えても、元気に大芝の湯を利用される方がいる一方、介護が必要で入浴できない方や、身体的な理由から大浴場を利用することが難しい方もいます。障がいのある方についても同様で、対象者全員が同じように温泉を利用できるわけではありません。

そのため現在は、温泉を利用できない場合などには大芝高原内で買い物券として使える仕組みになっていますが、ここでも少し気になる点があります。

500円分と200円分

大芝の湯の入浴に使えば1回分、現在の入浴料で考えると500円相当として利用できる券が、買い物に使うと200円分になります。同じ対象者に交付している同じ1枚の券でありながら、使い方によって受けられる恩恵に差が生じていることになります。

特に、本人の希望ではなく身体的な理由から温泉を利用できない方もいることを考えると、改めてこの差は一度整理してみる必要があると考えています。

買い物でも500円にできないか

そこで今後検討したいのが、買い物に利用する場合についても、入浴と同程度の500円分として利用できるようにすることです。

仮に1枚500円、年間5枚であれば、一人当たり年間2,500円分となります。温泉に入れる方はこれまでどおり大芝の湯を楽しんでいただき、入浴が難しい方や温泉を利用しない方は、大芝高原内での買い物などに使っていただければと考えます。

地域内循環

買い物券として利用できる場所を大芝高原内とすることで、村が福祉施策として支出したお金が、そのまま村外へ流れていくのではなく、大芝高原での消費につながります。

対象となる方には外出や買い物を楽しんでいただき、その利用が大芝高原の店舗や施設の利用にもつながる。福祉のための支援を、地域の中でもう一度循環させる仕組みとして考えることができます。

単に「500円を配る」という制度ではなく、「大芝高原に出かけるきっかけをつくる」「温泉や買い物を楽しんでもらう」「その消費を地域の中で循環させる」という複数の効果を持たせることができれば、村独自事業としての意味もより明確になるのではないでしょうか。

「福祉入浴券」から一歩先へ

こうした仕組みに変えていくのであれば、「福祉入浴券」の名称そのものも見直しも考えてはと思います。

大切なのは「温泉に入ってもらうこと」だけではなく、高齢者や障がいのある方の暮らしを豊かにし、外出や買い物、健康づくりなど、それぞれに合った形で福祉の向上につなげることです。

  • 福祉ぬくもり券
  • 大芝ぬくもり券

「福祉入浴券」という名称も含め、より多くの対象者に満足していただき、同時に大芝高原の魅力や地域経済にもつながる制度へ変えていくことができないか、今後検討を重ねていきたいと思います。