食料品消費税減税と所得連動給付をどう見るか

物価高が長引く中、食料品にかかる消費税を引き下げる案や、所得に応じた給付制度が議論されています。

現時点の予測

現在、食料品の軽減税率8%を、時限的に1%へ引き下げる案が検討されています。さらに、残る1%分については、中低所得世帯などに給付で補うことで、実質的に食料品の消費税負担をゼロに近づける考え方が示されています。

一方で、政府内では「給付付き税額控除」についても議論が進んでいます。本来の給付付き税額控除は、税額控除と現金給付を組み合わせる制度ですが、当面は税額控除ではなく、所得に応じた給付のみとして行われるようです。

この話は、次の3つに分けて考える必要があります。

1 食料品消費税を1%に下げる減税

食料品消費税を1%への変更は、買い物の時点で負担が下がる仕組みで、所得に関係なく、すべての人に効果があります。

特に消費額が多い世帯ほど、金額としての恩恵は大きくなります。子育て世帯や大家族にも効果が高いと思います。

2 残る1%分を補う給付

税率としては1%を残し、その1%分については、所得に応じた給付で補うという考え方が協議されています。

完全なゼロ税率にすると、事業者の事務、税務処理、インボイス制度との関係、国・地方の税収への影響など、制度上の課題が大きくなるためだと思われます。

この給付は所得が低い方や中低所得の世帯に対して、残る1%分の負担感を補う制度になると考えられます。

3 給付付き税額控除の「給付」

給付付き税額控除という制度の議論が別にあります。

本来の給付付き税額控除は、所得税などの税額控除と、控除しきれない人への現金給付を組み合わせる制度です。

しかし、現在の議論では、早期実施を優先するため、当面は税額控除ではなく、所得に応じた現金給付として始める方向が示されています。

給付付き税額控除の給付では、働く中低所得層、子育て世帯、所得が増えても社会保険料などで手取りが伸びにくい層などが支援されます。

誰がいつ給付するのか

・食料品消費税を1%に下げる話
・残る1%分を給付で補う話
・給付付き税額控除を、当面は給付として始める話

この3つのうち、消費税減税を除く2つについて、首長として正直気になるのは、給付制度を誰がいつ実施するのかという点です。

これまでの国の給付金は、多くの場合、国が制度を決め、国が財源を用意し、実際の支給事務は市町村が担う形でした。今回のように「所得に連動した給付」になると、事務はさらに複雑になります。

また、いつ給付するのかも気になります。1%分の給付と給付付き税額控除の給付を一緒にやるのかやらないのか。

市町村が担うなら、制度は徹底して簡素にすべき

仮に市町村が給付事務を担うのであれば、国には次の点を強く求めたいところです。

第一に、対象者判定の単純化

所得に応じて細かく給付額を変える制度は、公平に見えますが、実務は非常に複雑になります。住民への説明も難しくなり、問い合わせも増えます。

第二に、システム改修費や事務費の負担

市町村ごとにシステム改修を行い、各自治体が個別に対応する形では、効率が悪すぎます。全国共通の仕組みで、できる限り自動判定、自動支給に近づけるべきです。

給付金は、振り込むお金だけが費用ではありません。通知作成、郵送、コールセンター、システム改修、人件費、会計処理、苦情対応まで含めて、すべて行政コストです。

第三に、国が直接給付する道を検討

マイナンバー、公金受取口座、国税情報を活用すれば、将来的には国が直接給付する仕組みに近づけることも可能だと思います。

すぐに完全実施は難しいとしても、今後も毎年のように、市町村が確認書を送り、申請を受け、支給する仕組みを続けるのでしょうか。