普段あまり注目されない「本籍人口」というものがあります。
これは、その自治体に住んでいる人の数ではなく、その自治体に本籍を置いている人の数です。
南箕輪村の本籍人口
南箕輪村の令和7年度の数字を見ると、人口15,960人に対して、本籍人口は13,458人。その差は実に2,502人で、本籍人口を人口で割った「本籍人口率」を計算すると84.3%となります。
つまり、南箕輪村では「現在村内に住んでいる人」の数より、「南箕輪村に本籍を置いている人」の数の方がかなり少ないという、人口構造になっています。
では、これは普通なのでしょうか。
上伊那の町村の本籍人口
比較のため上伊那の自治体を調べてみると、飯島町では令和6年3月末の人口8,922人に対して、本籍人口は11,088人で、本籍人口率は124.3%です。
南箕輪村の84.3%とは実に40ポイントもの開きがあります。飯島町では現在住んでいる人口より、本籍を置いている人口の方が2,000人以上も多いのです。(おっー)
こうして見ると、南箕輪村の84.3%という数字はなかなか特徴的です。
なぜ、このような違いが生まれるのか
一つの仮説として考えられるのが、人口移動の歴史です。
人口が減少してきた地域では、進学や就職、結婚などで地域外へ転出しても、本籍は生まれ育った自治体に残すケースがあります。すると「住んでいる人は減っても、本籍人口はそれほど減らない」という現象が起こります。
南箕輪村はこれとは逆です。長年にわたって村外から多くの人が移り住み、人口が増えてきました。
南箕輪村に住所を移しても、本籍まで南箕輪村へ移す必要はありません。
そのため、「南箕輪村には住んでいるけれど、本籍は生まれ育った自治体などに残している」という人が多ければ、人口に比べて本籍人口が少なくなります。
南箕輪村の本籍人口率84.3%という数字は、そんな「外から人を受け入れて大きくなってきた村」という特徴が、戸籍という全く違う角度から表れている可能性があります。
地元出身者率ではない
ただし、本籍は住所とは全く別のもので、住所と一致させる必要はありません。したがって、「本籍人口率84.3%だから、住民の15.7%が移住者」という計算はできませんし、本籍人口率をそのまま「地元出身者率」と考えることもできません。
南箕輪村では「現在は南箕輪村で暮らしているけれど、本籍は別の自治体」という人が多いことが推測されます。
人口だけを見ていると分からない、地域と人とのつながり方の違いです。
おまけ
本当は上伊那8市町村すべてをランキングにしたかったのですが、市町村別の本籍人口は国の統計から簡単に取り出すことができず、自治体によって行政報告書などで公表しているところと、そうでないところがあります。
今後、各自治体を訪れた際に数字を集めて、上伊那8市町村で比較してみたいと思います。
本籍人口という普段ほとんど注目されない数字からも、南箕輪村が「外から来た人を受け入れながら成長してきた村」であることが見えてくるように思います。
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