令和8年第2回議会一般質問 太田議員

今回の一般質問では、持続可能な自治会運営についてご質問をいただきました。

要点

自治会は、防災、防犯、環境美化、ごみステーションの管理、地域行事、見守りなど、日々の暮らしを支える大切な地域組織です。

一方で、自治会加入率は年々低下しており、役員の担い手不足や高齢化、若い世代や転入者との接点づくりが大きな課題となっています。これからの自治会は、単に加入をお願いするだけでなく、現代の暮らし方に合った参加しやすい形へ変わっていく必要があります。

自治会は、行政の下請け組織ではありません。
住民同士が支え合い、地域を守り、暮らしをより良くしていくための、住民自治の基本となる大切な組織です。

しかし、これまでと同じやり方を続けるだけでは、持続が難しくなっていることも事実です。
加入率を大きく回復させる特効薬はありません。だからこそ、転入時の案内、自治会活動の見える化、役員負担の軽減、スポット参加、有償ボランティア、デジタル活用など、できることを一つずつ積み重ねていく必要があります。

「加入をお願いする自治会」から、「加入したい自治会」へ。
村としても、各区の主体性を尊重しながら、転入者や若い世代が地域に関わりやすい仕組みづくりを支援してまいります。

全文

1 真に持続可能な自治会運営に向けた現状認識と今後の支援策について

(1)自治会が抱える課題の現状認識について、村内自治会は12の区や組を基礎としており、農業関連、共有財産、消防、伝統文化などの様々なコミュニティを深く関わっている。自治会を維持していくために新しい人材の加入は欠かせない。自治会加入率の推移と移住者の自治会未加入に伴う地域コミュニティの分断リスク、持続リスクへの認識を問う。

 自治会が抱える課題の現状認識についてお答えいたします。
 まず、自治会加入率について、村全体の一戸建て世帯における加入率の直近5年間の推移を申し上げます。
 令和3年度が87.8%、令和4年度が87.2%、令和5年度が86.9%、令和6年度が85.5%、令和7年度が83.1%となっており、年々低下している状況です。また、令和7年度の転入世帯の加入率は37.5%にとどまっております。
 この傾向は本村だけのものではありません。全国的に地方においては、加入率の低下傾向が報道されており、多くの自治体に共通する課題であります。
 世帯構成やライフスタイルの変化、近所付き合いに対する意識など、社会環境の変化が主な要因になっているものと受け止めております。
 また、自治会加入率の回復については、全国的にも多くの自治体が課題として取り組んでおりますが、加入率を大きく回復させる手法が一般的に確立している状況ではないと認識しております。
 そのうえで、加入促進の取組としては、転入時の窓口案内、加入促進チラシの配布、未加入世帯への丁寧な説明、不動産業者や住宅開発事業者との連携、新築住宅や集合住宅への早期アプローチ、自治会活動の見える化、役員負担の軽減、デジタル回覧などが、各自治体で広く行われています。
 ただし、これらは加入率を回復させる特効薬ではなく、加入の機会を逃さず、自治会の役割を分かりやすく伝え、参加しやすい環境を整えるための地道な取組であります。
 本村の自治会は、12の区や組を基礎としながら、農業関連、共有財産、消防、防災、環境美化、伝統文化、地域行事など、暮らしに深く関わる多くの役割を担ってきました。これは行政では代替できない、地域の支え合いの基盤であります。
 移住者、転入者の自治会未加入に伴う分断リスク、持続リスクについての認識についてお答えします。
 まず、地域コミュニティの分断リスクです。これは、世代、居住歴、自治会加入の有無、地域活動への参加状況などによって、住民同士のつながりや情報共有、地域への関心、負担感に差が生じ、地域としての一体感や合意形成が弱まるリスクと認識しています。同じ地域に住みながらも、住民同士の距離が広がってしまうことが懸念されます。
 次に、自治会そのものの持続リスクです。役員のなり手不足、高齢化、加入率の低下、行事や共同作業への参加者減少などにより、これまで地域が担ってきた活動や支え合いの仕組みを、従来どおり維持することが難しくなるリスクと認識しています。特に、防災、防犯、除雪などの非日常業務は、地域の安心を支える重要な機能であり、担い手が限られていくことは、非日常時の対応力の低下につながりかねません。
 この二つのリスクは負担の偏りが分断を生み、分断がさらに担い手不足を深刻化させるという関係にあるものと認識しております。
 以上です。

(2)移住者と伝統的コミュニティを繋ぐ「接点創出」の仕組みづくりを

 旧住民と移住者の間に日常的な接点がなく、区や組への勧誘が困難な現状である。村の移住定住施策において、家を建てて住むまでの支援だけでなく、住んだ後の地域コミュニティへの参加を支援することが必要ではないか。新住民にとって、自治会はお金と時間を取られる割にメリットが見えない組織と映り、勧誘を拒否するケースが多々見られる。自治会の意義や必要性の啓発は、各自治会が主体となって行っているが、現場の区長、役員の力にも限界がある。村が主導して、移住、転入時に自治会の役割(防災、防犯、ごみ収集のルール等)を伝えるビギナー向けガイダンスや、ガイドブックを作成し配布を行う。また、村のウェブサイトで各区ごとの広報動画等を公開する。このような仕組みづくりを行っては。ちなみにこれらの提案は令和5年度初回自治会検討委員会の委員よるワークショップの中でも同様な意見が出されています。

 移住者と地域コミュニティをつなぐ接点創出の仕組みづくりについてお答えいたします。
 議員ご指摘のとおり、転入者、移住者の皆さんにとって、自治会や区、組の役割は、外から見るだけでは分かりにくい面があると認識しております。特に、自治会活動が会費や役員、作業などの負担として先に受け止められ、地域の安心や暮らしを支えている役割が十分に伝わりにくいことは、加入促進を進めるうえで大きな課題であります。
 一方、南箕輪村は昭和40年代から県下トップレベルの人口増加率を保ってきましたが、近年、加入率は低下傾向にあるものの、他の自治体と比べてその傾向が顕著というわけではありません。そのため、移住者が加入率低下の主要因と捉える論点については掘り下げる必要があると存じます。村としては高齢者の脱退のほうも大きな課題であると捉えています。
 現在、転入された方に対して、転入届出の際に、地域づくり推進課地域振興係の職員が個別に区や組への加入について案内を行っております。その際、全村共通のパンフレットである「みなみみのわむらのコミュニティ『区』」と、転入者がお住まいになる区専用の「暮らしのテキスト」をお渡しし、地域コミュニティの仕組みや、それぞれの区の活動内容について理解していただける取り組みを、過去と比較して近年は手厚く行っております。また、ごみ収集のルールなど日常生活に関わる事項についても、担当部署から動画を交えて説明を行っております。これらの資料については、村ウェブサイトにも掲載し、必要な情報にアクセスできるようにしております。
 一方で、先ほど申し上げましたとおり、令和7年度の転入世帯の自治会加入率は37.5%と低迷しております。これまでのように、区長や役員の皆さんが個別に勧誘し、地域の中で自然につながりをつくっていく方法だけでは、限界が生じているものと受け止めております。
 議員ご提案の、転入者向けのビギナー向けガイダンスやガイドブック、また各区ごとの広報動画などについては、移住者と既存住民、また地域コミュニティとの接点をつくる手法として、有効な選択肢の一つであると考えます。
 特に、自治会の役割を「お願い」や「負担」から伝えるのではなく、防災、防犯、見守り、災害時の助け合いなど、非日常を中心とした暮らしを支える身近な仕組みとして分かりやすく伝えることが重要であります。
 また、令和5年度の初回自治会検討委員会における委員ワークショップの中でも、同様の趣旨の意見が出されておりますので、今回のご提案は、現場の皆さんの問題意識とも重なるものと認識しております。
 広報動画については、各区によって活動内容や課題、伝えたい内容が異なりますので、村が一方的に作成するのではなく、各区と相談し、効果的な内容や負担の少ない作成方法を研究してまいります。
 いずれにいたしましても、自治会加入の促進は、区や組だけに任せるものではなく、村としても、転入者が地域に自然につながり、安心して暮らしていくための大切な支援であると考えております。
 以上です。

(3)「拒否されない自治会」への構造改革支援を

 伝統的な運営方法のまま若い移住者を誘っても現代世帯のライフスタイル(共働きなど)に合わず拒否されるのは必然である。役務をいきなり引き継ぐのではなく、まずは単発のイベントの手伝いや得意分野(IT、広報、デザイン等)だけのスポット参画ができるような仕組みの導入を村がマニュアル化して提示、推奨できないか

 「拒否されない自治会」への構造改革支援についてお答えいたします。
 議員ご指摘のとおり、ライフスタイルが多様化する中で、従来どおりの役員、行事、作業の担い方をそのまま前提として、若い世代や転入者に加入をお願いしても、負担感が先に立ち、加入につながりにくい面があると認識しております。
 特に、共働き世帯、子育て世帯、単身世帯などにとっては、自治会に加入すると、すぐに役員や作業、行事の負担が発生するのではないかという不安があり、そういった事例があることも若い世代から訴えを受けており、それが加入をためらう大きな要因になっているものと受け止めております。
 先ほど申し上げましたとおり、自治会加入を促進する全国共通の特効薬はありません。したがって、転入時の案内や情報発信を充実させるだけでなく、自治会そのものが、現代の暮らし方に合った参加しやすい形へ変わっていくことも重要であります。
 その意味で、まずは単発の行事の手伝い、短時間の作業、得意分野を生かした広報、IT、デザイン、会計補助、資料作成など、できることから地域に関わっていただく仕組みは、大変重要であると考えます。こうした関わり方を認めていくことが、若い世代や転入者にとっての心理的なハードルを下げ、結果として自治会への理解や参加につながっていくものと考えております。
 同時に、その仕組みであっても、実際に自治会活動に伴う負担は決して小さくないものと認識しております。
 そうであるならば、これまでのように無償の奉仕に頼るだけではなく、有償ボランティアや謝礼の考え方も、今後は重要になってくると考えております。
 行政としても、これまで自治会活動によって、地域の見守り、防災、環境美化、行事運営など、多くの地域機能が無償に近い形で支えられてきたことを、改めて重く受け止める必要があります。
 今後もこうした地域の力を維持していくためには、地域活動を単なる善意や慣例に頼り続けるのではなく、必要に応じて財源を投入し、地域のために関わることの価値をきちんと認めていく視点が必要であります。自治会側の構造改革も必要ですし、同時に行政の考え方も抜本的に改めてなくてはならないと思います。現在、村では久保、北殿、田畑、神子柴の4地区に村負担で集落支援員を配置しており、区長や役員の皆さんの事務負担の軽減、会議や行事の運営補助、地域課題の整理などを行っておりますが、私は集落支援員の配置はその第一歩であると捉えています。
 こうした取組を具体化していくためには、全村一律の制度設計だけでなく、実際の地区の中で試行し、課題を確認しながら改善していく視点も必要であります。単発参加、得意分野でのスポット参画、有償ボランティア、デジタル活用、策定したガイドラインの実践などについても、各区の実情に応じて検討を深めていく必要があると考えております。この点については、次のご質問にも関わりますので、後ほどあわせてお答えいたします。
 自治会は、地域を維持するための大切な基盤であります。一方で、これまでと同じ形をそのまま続けるだけでは、担い手の確保が難しくなっていることも事実であります。村としては、「加入をお願いする自治会」から、「加入したい自治会」へ転換していけるよう、各区の主体性を尊重しながら、現場に寄り添った支援を進めてまいります。
 以上です。

(4)早急に「持続可能な自治会検討委員会」の再設置を

 自治会業務の整理については、概ね成果が出たと思われるが、今でも村民の声を聞く会で出る意見で、自治会の存続において最も重要な課題は新しい人材の加入である。早期に第二弾の持続可能な自治会検討委員会を立ち上げ、課題解決に向けた協議を進めるよう提言する。

 早急に「持続可能な自治会検討委員会」の再設置を、とのご提言についてお答えいたします。
 村では、令和5年度から3年間、持続可能な自治会検討委員会を設置し、自治会業務の整理や負担軽減、持続可能な自治会運営のあり方について検討を行ってまいりました。
 その成果の一つとして、令和6年度には「自治会の困りごとに関するヒント集としてガイドライン」を作成し、各区へ配布しております。各区におかれましては、その中で取り組めそうなものがありましたら、ぜひ積極的に活用していただきたいと考えております。
 一方で、議員ご指摘のとおり、自治会の存続において最も重要な課題の一つは、新しい人材の加入、特に転入者や若い世代の参加であります。業務を整理し、負担を軽減することは大切ですが、担い手そのものが増えていかなければ、自治会の持続可能性は確保できません。
 検討委員会の再設置を要望されておりますが、これまでの検討委員会では、全地区を対象に議論を行ってきたため、各地区の規模、歴史、加入率、役員体制、地域行事、共有財産の有無など、置かれている状況の違いが大きく、どうしても一般論の整理にとどまりやすい面、議論が深まらない面がありました。結果として、議論はできても、各地区で具体的な実践に結びつける難しさがあったものと受け止めております。
 そのため、今後については、単に従来と同じ形で全村的な検討委員会を再設置するのではなく、より実効性のある形を考える必要があります。
 具体的には、希望する地区、あるいは課題意識の高い地区をモデル地区として、区の役員の皆さんに参画いただき、その地区の実情に応じた検討を行い、実践まで持っていく形が望ましいと考えます。
 例えば、転入者への加入促進、役員負担の軽減、行事や作業の見直し、スポット参画の仕組み、ヒント集で示した内容の実践、有償ボランティアの導入、広報動画やガイドブックの作成、デジタル回覧の活用、また行政側の積極的な投資などについて、モデル地区の中で具体的に検討し、実践につなげていくことが考えられます。
 これは、先ほどから申し上げている「接点づくり」と「受け皿づくり」を、実際の地区の中で一体的に進める取組であります。
 そのうえで、効果のあった取組や課題を区長会等で共有し、他の地区にも横展開していくことが、現実的で実効性のある進め方ではないかと考えております。
 新しい人材の加入は、自治会の存続に欠かせない重要な課題であります。ただし、地区ごとに事情も課題も大きく異なりますので、村が一律の答えを示すのではなく、各区の主体性を尊重しながら、必要な支援を行っていくことが重要であります。
 私としては、区長会等での情報共有や意見交換を継続するとともに、次の段階として、モデル地区による実効性のある検討の場づくりについて、検討していきたいと思います。
 しかしながら、これまで述べてきた内容は私の構想によるものが多く、どの程度賛同を得られるかはこれからの段階であります。現場の職員にはさらに有効的なアイディアを保持している可能性もありますので、これを決定とせず、議論しながら方向性については決めてまいりたいと存じます。
 以上です。