令和6年度の決算書をもとに、伊那中央病院の経営状況について、まとめていきます。
伊那中央病院の運営
伊那中央病院は、伊那市・箕輪町・南箕輪村の3市町村により構成する一部事務組合である伊那中央行政組合によって運営されています。
令和6年度純損失
入院、外来収益のが2億5千万円ほど増加しましたが、薬品費や食材費の高騰による材料費や給与費の増加により、純損失は12億3千万円ほどとなり、8年連続の赤字決算となりました。
収益的収入
病院事業収益は約144億4千万で、前年度と比較し、約2億5千万円(1.7%)ほど増加しました。
そのうち医業収益は約138億4千万で、前年度と比較し、約6億6千万(5.0%)ほど増加しました。
さらに、そのうち入院収益が約87億7千万円で、前年度と比較し、約3億3千万円(4.0%)ほど増加、外来収益が約40億6千万円で、前年度と比較し、約2億9千万円(7.8%)ほど増加、その他医業収益が約10億2千万円で約3千万円(3.1%)ほど増加しています。
患者の状況をみても、延入院患者数は116,409人で、前年度と比較し、2,673人の増加、延外来患者数は206,234人で、前年度と比較し、726人の増加となっています。
また、健診関係の年間受入人数は5,040人で、前年度と比較し、278人(5.5%)の増加となっています。
これらの要因により、収益的収入は増加していますが、次の収益的支出の更なる増加により、経営は厳しさを増しています。
収益的支出
病院事業費用は約156億7千万円で、前年度と比較し、約5億円(3.3%)ほど増加しました。
そのうち医業費用は、約149億9千万円で、前年度と比較し、約4億5千万円(3.1%)ほど増加しました。
さらに、そのうち給与費が約81億6千万円で、前年度と比較し、約1億6千万円(2.0%)ほど増加、材料費が約38億5千万円で、前年度と比較し、約2億5千万円(7.1%)の増加、経費が約19億9千万円で、前年度と比較し、約1億1千万円(5.7%)の増加、減価償却費が約9億2千万円で、前年度と比較し、約8千万円(8.1%)の減少、資産減耗費が約1千万円、研究研修費が約5千万円でした。
医業外費用は、約6億8千万円で、前年度と比較し、約6千万円(9.3%)ほどの増加しました。
材料費をはじめ、給与費や経費の増加が、収入を上回っており、経営の厳しさを増す要因となっています。
3市町村からの繰入金
繰出基準等に基づく構成市町村からの繰入金は15億4千万円ほどとなっています。
内訳としては、南箕輪村が約6千万円、箕輪町が約9千万円、交付税が約11億円ほどで、残りが伊那市の負担となっています。
1人1日当たりの収入
1人1日当たり | 令和5年度 | 令和6年度 | 比較 |
患者の診療収入 (入院) | 74,185円 | 75,355円 | 1,170円増 |
患者の診療収入 (外来) | 18,307円 | 19,666円 | 1,359円増 |
職員の診療収入 (医師) | 327,048円 | 334,232円 | 7,184円増 |
職員の診療収入 (看護職員) | 63,336円 | 67,301円 | 3,965円増 |
1人1日当たりの費用
1人1日当たり | 令和5年度 | 令和6年度 | 比較 |
患者の薬品費 | 6,665円 | 6,945円 | 280円増 |
患者の給食材料費 | 739円 | 761円 | 22円増 |
伊那中央病院経営強化プラン
現在、令和5年度に策定した伊那中央病院経営強化プランに基づいて、安定的な経営基盤の確立を目指しています。
医業収益に対する給与費比率は60.7%から58.9%に減少している一方、医業収益に対する材料費比率は27.3%から27.8%へ増加しています。
このように、物価高騰など、プラン策定時から環境は大きく変化しており、一層の努力の積み重ねが必要な状況となっています。
