子どもがペルテス病に罹った話

2021年4月に子どもがペルテス病に罹患してからの記録です。

ペルテス病

コロナ禍での県立こども病院入院記録編

2011年4月11日の村長選挙を終えた翌日、夕方に時間をいただき、子どもを伊那市にある林整形外科に連れていったところ、ペルテス病に罹患していることがわかりました。

ペルテス病とは

ペルテス病とは、胴体と足をつなぐ部分の足側の骨部分が壊死してしまう病気です。

数万人に1人の確率とのことで、8万人に1人の確率で「幸帽子」で生まれた息子は、ここでもレアものを引き当ててしまいました。

骨は壊死してしまいますが、年齢が低いので骨が再生するようです。

ただし、意図しない形で再生しないように、装具を常につけて固定し、さらには足に負担がかからないようにしなくてはいけません。

自ずと数年間は装具+車イス生活となります。

経過

経過を振り返ってみます。

3月上旬

3月上旬ごろから、なんとなく歩き方が変だなと感じていました。

ちょうど選挙の準備で議員を2月末で辞職し、自由に使える時間があったため、朝7時に宮田村にある齊藤診療所に連れていきました

齊藤先生は専門ではありませんが「もしかしたらペルテス病やもしれない」とのことで、林整形外科に紹介状を書いていただき、その足で8時30分に林整形外科に赴きました。(お悔やみ:齊藤先生は2024年にお亡くなりになりました。)

林整形外科でレントゲンを撮りましたが、所見がみられず、2週間後に再度受診となりました。
なお、本人に痛みはなく、なんとなく膝が変な感じと言っていました。

3月下旬

原因が分かるまで大事をとって保育園をお休みしました。登園すると、保育園の先生にも迷惑が掛かってしまうこともありました。

両親の手も借りながら、安静した日々を送りましたが、歩き方はどんどん悪くなり、明らかにびっこを引くようになりました。

2週間経過し、改めて受診しましたが、レントゲンの結果を見ても変化がなく、3週間後に再々度受診となりました

4月上旬

歩き方が変だなと感じてから1ヶ月が経過し、いよいよ歩くことを嫌がるようになり、ハイハイで家の中を移動するようになりました。

これはさすがに待ってられないとのことで、受診日程を早めていただき、2021年4月12日に受診したところ、レントゲンでペルテス病の所見がみられました。

レントゲン写真をみたら、骨の真ん中にヒビが素人目でも確認できました。

さっそく紹介状と画像データをDVDで頂戴し、翌日(13日)の朝一に県立こども病院へ受診予約の連絡をしました。

こども病院からは、すぐに受診するよう指示があり、4月14日の8時30分に受診、検査の結果、即日入院となりました。

なお、林整形外科さんでペルテス病を観たのは10年ぶりくらいとのことでした。

4月14日(県立こども病院受診日)

8時30分に受付を済ませ紹介状やDVDをお渡しし、結構な量の必要書類を母子手帳を確認しながら書きあげ、9時20分ごろに受診することができました。

まずはベットに寝転んで触診をし、続いてレントゲン撮影をしました。

すぐにペルテス病である旨診断があり、対処療法について、手術を経ての処置か、そうでない処理の、2通りの説明がありました。

手術をした場合とそうでない場合の違いは、車イス生活における足の角度の違いであると私は理解しました。

手術をした場合は足を真っ直ぐした状態で固定ができ、手術をしなかった場合は足を開いた状態で装具を固定する形となります。

うちの子ども(6歳)は足の骨が細く、手術で固定するには不安があるということで、我が家は手術なし(足を開いて長期間固定)を選択しました。

装具と車イスの発注

装具は個々のサイズに合わせたオリジナルの装具を制作する必要があります。

病院に制作業者が出入りするのは数週間に1回とのことで、ちょうど受診日が出入り日となっていました。(それもあって予約を早期に入れてもらえました)

X線で足の動きを確認したあと、40分くらいかけて、下半身のサイズをはかり、巻いたあと時間が経つと固まる包帯を巻いて、型を取りました。

装具の製作には1ヶ月弱かかり、それまで足に負担をかけることができないため、即日入院となりました。

なお、装具は税込で20万円ほどです。保険等が適用されますので、自己負担分はほぼありません。

色は自分で10種類くらいから選ぶことができ、子どもは水色を選びました。

車イスは専用のペルテスカーと呼ばれるものもあるようですが、県立こども病院への出入り業者で買えるものは、通常の車イスの特別バージョンでの対応となります。

何が特別かというと、足を開いた状態で車イスに乗ることになるので、左右の”肘おき”がない形となっています。

費用は約5万円でこちらは全額自己負担となります。3年間ほどお世話になる車イスなので当然にかかる出費かなと思います。ただ、子どもはブラウンドットいう柄を選んでいました。まだ到着していないので、その点は不安が若干あります。

牽引治療

入院中は常に足に重りをつけて、引っ張る牽引治療がとられており、ベッドから動くことが全くできないため、退屈との戦いになります。

県立こども病院

コロナ禍での入院ということで、色々と苦労がありました。

アクセス

県立こども病院は安曇野市にあります。安曇野インターチェンジや梓川サービスエリアのスマートインターから車で5-10分ほどの位置にあるので、南箕輪村から高速道路を使えば50分ほどで来ることができます。

高速料金は伊那インターチェンジから片道1,690円です。往復で約3,500円となり、毎日となるとガソリン代も含めて結構な出費となります。ETCマイレージなどをうまく活用して、節減に努めました。

コロナ禍での対応

子どもは保育園児のため、夜間も含めて付き添いが必須となります。しかしながらコロナ禍のため、付き添いは両親に限定されており、それ以外の関係者は一切病棟に入ることはできません。

我が家の場合、授乳中の0歳児がいますので、母親は付き添いができず、自ずと父親の役目となります。

付き添いのベットや寝具の利用料は1日500円も掛からないので負担は少ないですが、硬い簡易ベッドなのがちょっと辛いですね。身体が小さい親は添い寝でもOKだそうです。

なお、24時間出入りOKなので、働く親には優しい仕組みになっており、私は朝5時には病院を出て自宅に戻るようにしています。

個室

個室は、1日につき1,500〜2,000円追加料金を払えば利用することができます。

個室のみWi-Fi利用がOKのため、親の仕事的には助かりますが、1ヶ月利用すると相当な額になります。

我が家は同じ部屋に友達がいたほうがいいかなぁと思い、4人部屋で過ごしています。

病院生活

1日の病院生活はこんなかんじです。

  • 6時30分 起床
  • 7時30分 朝ごはん(ベッドまで持ってきてくれます。親がいれば片付けは親、なお親は飲食厳禁)
  • 10時00分 おやつ(小学生未満のみ)
  • 12時00分 昼ごはん
  • 15時00分 おやつ
  • 18時00分 夕ご飯
  • 21時00分 消灯
  • その他、個人ごとに30分のフリータイム、入浴があります。

基本的に、その他の時間は全て牽引されている形です。

牽引されている時はテレビをみたり、Switchをしたり、ボードゲームをしたりしています。

退院後

装具が完成し、無事退院となり自宅に戻ってきましたので、退院後の生活についてお知らせします。

装具は基本的にずっと着用

日常生活の中では、基本的に装具はずっと着用したままとなります。もちろん寝ている時も着用したままです。

そのため、装具を外すタイミングはかなり限定的で、基本3パターンです。

  1. お風呂の時
  2. トイレの時
  3. 車に乗る時

お風呂や車はそれほど億劫ではありませんが、トイレは1日に何度もあるので、こちらは大人としては、正直めんどくさいなぁと思ってしまいます。

オリジナル装具

装具はオリジナルなのでカラーは自分で選ぶことができました。

うちの子どもは水色を選びました。

装具を着用すると、足が開いた状態となり、2本の棒で渡しができる格好になります。

この棒は、移動する時に重宝します。子どもにこの棒を持ってもらうことで、スムーズに移動することができます。

装具の付け方

装具には左右それぞれマジックテープで固定するためのベルトが5本ずつ付いていて、これを足首から付ける形で固定します。

こどもは身体が柔らかいので、足の先まで届くので助かりますねぇ。

私なら絶対に届かない・・・

装具を付けての移動

装具を付けていても、自分の力で移動は可能ですが、床によっては傷つく恐れが高いです。

特製台車

我が家では地元の木工職人の方にお願いして、移動用の特製台車を造っていただきました。

基本的にこれを保育園に持ち込んで対応しようと考えております。

熟練の技には感謝感謝です。

車イス

食事をする時や外出時には車イスを利用します。

ただ、この車イスについては、足を広げた状態で乗る必要があるため、左右の肘おきがありません。

そのため、タイヤに手がそのまま巻き込まれる仕様となっていますので、子どもには、かならず棒につかまっているようにお願いしています。

装具の洗濯・修理

装具の足裏のシートは取り外して洗える仕様になっていますので、我が家では毎日洗濯しています。

また、固定しているネジが一定周期で取れるので、ドライバーとペンチで付け直しが必要です。

装具の重さ

装具について、一見重そうに見えますが、誰でも持てるほど軽いので助かっています。

困っていること

足を広げた状態で固定されるので、部屋を移動するときには、斜めにしないと通れないことが困っています。

退院してから数ヶ月後

体が柔らかくなった

毎日、毎日、足を開いた状態にする装具をつけた生活をしている我が息子。もちろん寝ている時も装具をつけたままです。

そのおかげなのか、とっても身体が柔らかくなりました。

こーんなに柔らかいです。

実はうちの家庭は両親とも、身体が超とってもすごく硬いです。

床に座って、足を伸ばしたときに、手が足の指にまったく着きません。

私に至っては、90度から前に動きません。

でも、息子はこんなに柔らかくなりました。

すごいなー

体が太くなった

体が柔らかくなったのは比較的良い事ですが、残念ながら歩くことができませんので、運動量が低下してしまい、体が太くなっております。

体重が3ヶ月で+6kgとちょっとびっくりするくらい増えてしまいました。

そういえば、私も5ヶ月で+5kgとなっております。

環境の変化は偉大です。

親子でダイエットに取り組まなければなりません。

病院へは3ヶ月に1度

ペルテス病に罹患する子どもはやんちゃな子が多いらしく、装具を外してしまう傾向があるようです。

そういった場合は手術に切り替えるらしいのですが、我が息子は装具をしっかり付けれているので、病院に3ヶ月に1度通って、経過を観察しています。

このまま順調に進み、装具だけで治療が完了することを願っています。なお、診察は引き続いて長野県立こども病院に行っています。

保育園にも通えるように

保育園の先生方にご理解いただき、保育園にも通えるようになりました。

色々ご苦労をおかけしますが、ありがたいです。

車椅子生活は2024年11月現在まだ続いています。