2020年9月議会では、村のICT環境の整備に絞って、一般質問を行うことにしました。
通告(事前にこのような質問をしますと提出するもの)
村のICT環境の整備
新型コロナウイルス感染症対策を受け、国内のデジタル化が加速している。そこで、村のICT環境の整備についてお聞きする。
(1) 村の情報発信について
現代社会は情報が溢れ、正確で信用できる情報を得ることが難しい時代となった。みなみみのわメールメッセンジャーは成果を上げているが、情報を受けるツールも世代によって多様化している。
今後、村からの情報発信についてどう考えるか。
10代のメールの行為者率が、平成24年の65.8%だったのが平成30年には22.7%に減少したことを受けての質問になります。
(2)双方向コミュニケーションツールの導入について
日常的に人々の間で利用されている双方向コミュニケーションツールであるSNSが先進的な自治体で活用されている。2020年秋から、そのソースコードが無償提供されることになった。
これを機にSNSの導入検討を進めてはどうか。
全世代のLINEの利用率が、平成24年に20.3%だったのが平成30年には82.3%まで増えたことを受けての質問になります。
(3)若手職員プロジェクトチームについて
プロジェクトチームは、課題に対して現状把握、課題抽出、目標設定、潜在的な問題把握等、日々のルーチンワークでは経験できないことも多い。 SNSなど、知識やノウハウに優位性がある分野において、若者の斬新で柔軟な発想を活用していくことは、村役場の活性化や職員の成長にもつながると考える。
そこで、若手職員のプロジェクトチーム発足を検討してはどうか
南箕輪村は人口増を受け、職員数が増加しており、若者の多さが目立つようになりました。システムや情報発信は運用が一番大変なので、そこの受け皿&それを知っていただくことも必要です。
(4)公共無線LANの整備について
新型コロナウイルス感染症対策により、小中学校や公共施設に公共無線LANを整備する検討が進んでいる。
公共無線LANの設置箇所(予定含む)についてお聞きしたい。また、災害時には誰もが使えるよう、管理者がスイッチ一つで認証が不要にできればと考えるが、どのような仕組みになっているか。
① 通常時に誰もが利用できる公共無線LANの設置箇所(予定含む)
② 災害時に誰もが利用できる公共無線LANの設置箇所(予定含む)
どこでWifiがつながるのか、できれば地図に円の形でMAPにしたいところです。
(5)小中学校のオンラインによる家庭学習及びICTシステムについて
文部科学省が示す、ICTを活用したオンラインによる家庭学習、ICTをフル活用するための教育ICTシステム構築について、それぞれ方針及び進捗状況、さらに課題についてお聞きしたい。
急速に進んでいるので、現状把握をしたい(促したい)主旨です。
(6)公共施設管理のオンライン化について
スポーツ施設、公共施設、さらに建て替えが進んでいる研修センターなど、空き状況の確認や予約が、現地訪問か電話でしかできない。不便であり、稼働率低下の要因でもある。また、データ収集による分析も容易ではない。
施設管理のオンライン化について、どう考えるか。
今後のスポーツ施設予約の接遇改善も意図しています。
原稿(一般質問当日に持っていくカンペ)
新型コロナウイルス感染症対策をうけて、国内のデジタル化が急速に進んでいます。そこで、事前に通告した、村のICT環境の整備に関する6項目について、質問いたします。
(1)村の情報発信についてです。
現代社会は情報が溢れており、正確で信用できる情報を得ることが難しい時代になりました。
その傾向は災害時や非常時に顕著にみられ、先日、新型コロナウイルス感染症に関する情報が、県やメディアから断片的に発信された結果、村役場に問い合わせが殺到したことは、一つの典型的な事例ではないでしょうか。
テクノロジーの進化で、誰もが情報を発信できるようになったため、デマも広がりやすく、村から正確で信用できる情報を発信する必要性が高まっていると感じます。
さて、古くから利用されている、公の情報発信ツールと言えば、防災無線が挙げられます。
さらに、近年においては、2007年からメール配信サービス、みなみみのわメールメッセンジャーがスタートしています。
このサービスは、自分が必要な情報がメール配信で届くもので、利用も登録も無料でできます。2020年4月現在、登録数は約5,700件にのぼっています。
このメール配信サービスは、防災無線のように、雨や風で聞き取りづらいといった課題もなく、先日の大雨では、細やかな情報がリアルタイムに提供されたことで、休校等の確認ができ、大変助かりました。今後も積極的な運用を進めていただければと願っております。まだ、利用していない村民の皆様も、ぜひこの機会にご登録をいただければと思います。
さて、総務省、情報通信政策研究所が、昨年「平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」を発表いたしました。この報告書をみると、お手元の資料1、2にも記載してございますが、メール行為者率、言わばメールを日常的に利用している人の割合は、10代は平成24年に65.8%だったのが、平成30年には22.7%に大きく減少、20代は72.0%だったのが39.0%に減少、30代は67.1%だったのが、54.3%に減少していることがわかります。
若い世代ほど、メールを日常的に利用しなくなっている傾向がはっきりとデータで示されています。
さて、冒頭述べましたが、正確で信用できる情報を得るのがむずかしい時代となりました。
現状のメール配信サービスは一つの有用なツールであり、継続すべきサービスでありますが、情報を得るためのツールが、世代によって多様化していることは、先のデータが示すとおりです。
そのような多様化への対応のため、阿部知事をはじめ、佐久市長、御代田町長など、首長が自ら個人のアカウントでSNS(ツイッター)を活用し、情報発信するケースも増えてきました。
そこでお尋ねいたします。
今後、村から正確で信用できる情報を発信していくにあたり、どのようなお考えをお持ちであるかお聞かせください。答弁をお願いいたします。
2 双方向のコミュニケーションツールの導入について
メール配信サービスや防災無線などは、村役場から住民へ、一方通行で情報を発信する類の話でした。
次に質問するのは、住民から村へ要望や情報を発信することが可能になる、双方向のコミュニケーションツールについてです。
さて、古くから利用されている、双方向のツールと言えば、電話が挙げられます。
電話は便利ですが、時間がかかる、言葉だけで伝える必要がある、文字に残らない、基本的に1対1でしか行えないなど、現代の発展したテクノロジー環境においては、不便な点も目立ち始めました。
さきほどと同様、情報通信政策研究所の報告書によると、お手元の資料の3にありますが、電話に変わって、現在、主に利用されているコミュニケーションツールがSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)です。
そのSNSの中で、全世代で利用率が顕著に増えているLINEという民間サービスがあります。
LINEの利用率はお手元の資料の4にありますが、平成24年に20.3%だった利用率が、平成30年には82.3%まで急激に増えています。この82.3%というのは、私も少し驚きましたが、全世代の利用率の平均の数字です。
次に利用率が高いのがツイッターで37.3%ですから、LINEの82.3%が、いかに群を抜いて、あらゆる世代に利用されているのかがデータから分かります。
さて、そこまで利用率が高いのであれば・・・ということで、先進的に公のサービスとして、LINEを活用している自治体があります。たとえば福岡市です。
福岡市のサービスを利用者目線で紹介しますと、まずLINEで福岡市と友達登録すると、登録した時に設定した地区やカテゴリーに沿った情報が、市から送られてくるようになります。これはイメージとしては、さきほど述べた、村で運用しているみなみみのわメールメッセンジャーに近い機能になります。さらには、ここから双方向の話になりますが、村民が村に要望を直接届けることができます。さらに、道路陥没などを発見した時に、画像と位置情報をつけて通報できます。さらに、先日宮田村が試験運用を始めたチャットボット機能などを使うこともできます。
タイムリーな話題では、抜き打ちの防災訓練が、先日このLINEを使って実施されておりました。現在、このサービスの登録者は、福岡市民を中心に169万人にも達しています。
さて、そんなLINEを利用したサービス、LINE SMART CITY GovTechプログラムについて、今年の秋から、自治体に向けて、ソースコードの無償提供が始まることになりました。お手元の資料にも掲載しております。
導入および運用にあたって、もちろん全く無償という話ではありませんが、開発費等のコストを削減して、村でも導入が可能となります。
利用率が高いのが導入する一番のメリットですが、他にもいくつか挙げますと、村の長年の課題である未加入世帯との接点の一つになること、普段使わないものは災害時では絶対使われないという観点から、日常的に使われているツールですので災害時での活用が見込まれること、さらには、ベースは民間サービスのため、決算特別委員会でも取り上げたような、基幹系システムにみられるバージョンアップ時の高額なコストが発生しないことがあげられます。
さらには、運用しだいでは、友達登録は村内に限られませんので、イベント告知や移住施策、村のPRにもつなげることができます。
新たな双方向のコミュニケーションツールの導入検討を進めることについて、村ではどうお考えになりますか。答弁をお願いいたします。
3 若手職員プロジェクトチームについて
LINEに関する件については、私も福岡市長の本を読む中で知ってはいましたが、具体的な内容は、村内の私よりぐっと若い感性豊かな方々から情報提供していただきました。
現在運用しているみなみみのわメールメッセンジャーにも共通して言えることですが、システムについて一番重要なのは導入後にどうやって運用をしていくかです。
そこで、今回のSNSの活用やみなみみのわメールメッセンジャーなど、明らかに若者のほうが知識やノウハウに優位性がある分野において、若手職員でプロジェクトチームを作って運用を検討したり、工夫したりする仕組みを作ってはいかがでしょうか。
南箕輪村組織規則に、プロジェクトチームの記載はありませんが、唐木村長が就任された2005年には、庁内に6つのプロジェクトチームが組織され、成果を出された前例もあります。
プロジェクトチームは、業務が単純に増えるため、職員に負担が増えますが、そこでの経験は、課題に対して現状把握、課題抽出、目標設定、潜在的な問題把握等、日々のルーチンワークでは経験できないことも多く、斬新で柔軟な発想を活用していくことは村の活性化にもつながると思います。職員のやる気と自信、職員力の向上も期待できないでしょうか。
若い職員が増えており、タイミングとしては悪くないと考えますが、どのようにお考えになりますか。
答弁をお願いいたします。
4 公共無線LANの整備について
村における公共無線LANの整備状況についてお聞きします。
新型コロナウイルス感染症対策により、小中学校や公共施設に公共無線LANの整備が進んでいます。
第五次総合計画には、大規模災害時の非常通信手段を確保するため、役場、地区避難所、大芝公園等を無線ネットワークで結ぶ防災システムおよび 避難者等への情報提供や情報収集に役立てるため、地区避難所や防災拠点施設にWi-Fiステーションの設置を検討することが謳われています。
地区避難所の一つである、地区公民館への無線LAN設置については、議会からも要望書を提出し、現在区長会と協議中のステータスであるとお聞きしておりますし、大芝高原においては、人が集まる施設を中心に、無線LANの整備がすでに行われました。
そこで、今後の予定を含め、改めて、公共無線LANの設置箇所をお聞かせください。また、小中学校などの無線LANは通常時は、一般の方は利用できないと考えますが、災害時には認証不要で利用できたほうがいいと考えますし、その切り替えるが管理者であれば簡単にできれば、なお望ましいと考えますが、どのように運用される予定でしょうか。答弁をお願いします。
5 小中学校のオンラインによる家庭学習及びICTシステムについて
GIGAスクール構想が前倒しで実施され、小中学校のネットワークやデバイスの整備が急速に進みつつあり、教育委員会をはじめ、学校関係者の皆さまは大変苦労されていると思います。
議会でも、オンラインで常任委員会が行えるようになりましたが、小中学校においては、コロナ対策はもちろんですが、台風や大雪など、悪天候時などでも、今後、オンラインによる家庭学習ができる環境を構築しておくことは検討してもいいのではと感じます。
さて、文部科学省が示す、「新型コロナウイルス感染症対策に伴う児童生徒の 「学びの保障」総合対策パッケージ」には、時期については地域差を考慮しつつも、ICTを活用したオンラインによる家庭学習が全ての児童生徒に可能な環境を実現することが謳われています。
また、オンラインによる家庭学習とは別の観点になりますが、今回村においても全ての児童生徒にデバイス端末が用意されることになりました。デバイス端末を用いて、ICTをフル活用するための教育ICTシステム構築についても、文部科学省において、進めていく方針となっています。
村においては、人的リソースが限られている中で、対応できるスピードや範囲に限りがある中ではありますが、現時点において、ICTを活用したオンラインによる家庭学習、そしてICTをフル活用するための教育ICTシステム構築、それぞれについて、どのような方針および進捗状況であるかをお聞かせください。
また、課題がございました加えてお願いいたします。
答弁をお願いいたします。
6 公共施設管理のオンライン化について
先日、むらづくり委員会より、地方創生交付金活用事業の検証結果が公表されました。人工芝になった屋内運動場は目標の倍以上の利用者数となり、数ある創生事業の中で唯一、非常に効果的であったと評価されました。屋内運動場は、まだまだ稼働率を高めることが出来るのではと感じます。
さて、各種スポーツ施設が揃っているのが、大芝高原の一つの魅力となっていますが、非常に効果的と評価された屋内運動場でさえ、実際は、空き状況の確認や予約が、現地訪問もしくは電話でしかできません。
施設の利用状況を紙ベースで管理しているのが原因で、スポーツ施設、村民センターなどの公共施設、さらに現在建て替えが進んでいる研修センターなど、これら施設について、紙によるアナログ管理を継続することは、住民にとっては単純に不便であり、公共施設の稼働率の低下の要因にもなっていると考えられます。
また、各施設の稼働率を改善をしていくために、稼働率の低い曜日や時間帯などを把握するためのデータ集計も、紙ベースでは負担が大きいのではないでしょうか。
さて、システム導入となると費用面が危惧されますが、一般財団法人地域活性化センターでは、自治体に対して、公共スポーツ施設等活性化助成事業として、システム導入への助成を長年行っています。
システムを導入しなくても、スポーツ施設の空き状況が分かるようにすることは工夫によっては可能ですが、私としては、できればせっかくの助成事業ですので、これを活用して、予約まで行えるよう、アナログの施設管理を改善していただくことを願っています。この件についてお考えはいかがでしょうか。答弁をお願いいたします。
個人的な意見で誰に役立つ情報か分かりませんが、一般質問は原稿を8割仕上げてから、それを通告にする形をとっています。(1)原稿(2)通告(3)原稿と仕上げる過程にすることで、(2)の段階で一旦本当に必要なテキストのみに集約しなくてはならないので、機械的に原稿の完成度をあげることができるのではと感じています。
2020年8月28日 文責 藤城
コメント