前回は、農家がつくったお米が私たちの食卓に並ぶまで、どんな事業者が関わっているのかを追いかけてみました。
今回の第2部では、もう一歩踏み込んで「お金」を追いかけてみます。
今年のお米について、農家に支払われる概算金が60kgあたり2万円程度という速報が届き始めています。
農家が60kgを2万円で出しているなら、5kgでは1,667円。それがどうしてスーパーでは数千円になるのでしょうか。
実際の数字
仮に概算金を玄米60kgあたり20,000円として、単純に12で割れば、
20,000円÷12=1,667円です。
これは「玄米5kg」の価格で、私たちがスーパーで買うのは基本的に精米された白米です。
玄米は精米すると糠などが取り除かれ、重量が1割程度減りますので、仮に精米歩留まりを90%とすると、玄米60kg→白米約54kgとなります。
したがって、白米5kgをつくるためには約5.56kgの玄米が必要です。
概算金2万円なら、
20,000円÷60kg×5.56kg=約1,850円
となります。
農林水産省のデータ
一方、農林水産省でも、米について「生産→集荷→卸→小売→消費者」という各段階の価格を整理して公表しています。
令和5年産
農家への概算金 12,700円/60kg
↓
集荷業者から卸への相対取引価格 15,300円/60kg
↓
卸から小売への価格 玄米換算18,300円/60kg
↓
消費者価格 白米5kg 2,291円
つまり概算金12,700円のお米が、最終的には60kg精米換算で27,500円程度になっていました。
令和6年産
農家への概算金 19,100円/60kg
↓
集荷業者から卸への相対取引価格 24,800円/60kg
↓
卸から小売への価格 玄米換算31,300円/60kg
↓
消費者価格 白米5kg 3,927円
概算金19,100円のお米が、最終的には60kg精米換算で47,124円程度に高騰しています。
令和5年産の概算金を100とした場合、小売段階は216になり、それが令和6年産では概算金を100とした場合、小売段階は247まで広がっています。これは大きな増加と感じます。
つまり最近のお米の値上がりは、単純に「農家への支払いが増えたから、その分だけスーパーの価格も上がった」という話ではありません。
それぞれの中間事業者で係るコスト上昇が大きく影響していると考えられます。
全算入生産費
別の観点の話になりますが、農林水産省によると、令和6年産米の個別経営体における60kgあたりの全算入生産費は15,814円でした。
全算入生産費とは、農業などの生産活動において、実際に支払った費用だけでなく、自家製の労働力や自己所有の土地・資本にかかる費用もすべて含めて計算した総コストのことを言います。
概算金が仮に20,000円なら農家の収入(利益)は4,186円になります。
なお、組織法人経営体では60kgあたりの全算入生産費は12,090円で、利益は7,910円です。規模や経営形態によって生産コストにも大きな差があります。
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