農家から消費者まで、お米と一緒に旅をしてみる第1部

今年のお米について、農家に支払われる「概算金」が60kgあたり2万円程度になるという速報が届き始めました。

令和の米騒動が大きな話題ですが、そもそも農家がつくったお米は、どのようなルートを通って私たちの食卓に並んでいるのでしょうか。

今回は3部に分けて、農家から消費者まで、お米と一緒に旅をしてみようと思います。

スタートは農家

最初は農家からスタートです。春に田植えをして、水管理や草刈り、施肥、防除などを続け、秋に収穫となります。

収穫した籾は乾燥させ、籾殻を取り除き、選別・調製して玄米にします。

農家が自分で行う場合もありますが、ここで登場するのが「ライスセンター」や「カントリーエレベーター」です。

大量の籾を受け入れて、乾燥、籾摺り、調製、保管などをまとめて行う施設で、農家一軒一軒が大きな乾燥機などを持たなくても済むようにしています。

JAなどの「集荷業者」へ

玄米になったお米は、JAなどの集荷業者に集まります。

ここで登場するのが、最近ニュースでよく聞く「概算金」です。

例えば60kgあたり2万円の概算金なら、農家が60kg出荷した段階で、とりあえず2万円程度が支払われるという仕組みです。

ただし概算金は名前のとおり最終的な販売代金そのものではありません。JAなどが農家から販売を委託された米について、まず一定額を支払い、その後の販売結果などを踏まえて精算する仕組みです。

また、集荷するのはJAだけではありません。

地域の民間集荷業者、米穀業者、商社、農業法人などが農家から直接買い取る場合もあります。

令和7年はお米の獲得競争が起きたことは記憶に新しいところです。

検査

さらにお米には品質を確認する仕事があります。品種、産地、産年を確認するとともに、整粒や被害粒などを調べ、1等、2等などの品位を判定します。

この検査を行うのは、農産物検査法に基づく「登録検査機関」です。名前だけ聞くと専門の検査会社を想像しますが、実際にはJAや米穀業者、集荷業者、農業法人などさまざまな事業者が登録されています。

大量のお米をまとめるJA全農など

JAに集まったお米は、地域のJAからJA全農の県本部などを通じて販売されるケースがあります。

「長野県産コシヒカリを年間○千トン」といった規模にまとめ、大手の米穀卸などと取引します。

もちろん、すべてのお米が全農を通るわけではなく、JAが直接販売するルートもあります。

倉庫

お米は基本的に秋に一気に収穫されますが、私たちは秋だけお米を食べるわけではありません。

秋に収穫された大量のお米を翌年の夏まで少しずつ市場へ送り出す必要があるため、玄米を低温倉庫などで保管します。

温度や湿度を管理し、品質を保ちながら何か月も保管する必要があります。

運搬

産地から倉庫へ、倉庫から精米工場へ、精米工場から物流センターへ、そして店舗へ。

お米の輸送費には単純なトラック運賃だけでなく、積込料、荷卸料、待機時間料、燃料サーチャージなど様々な費用が含まれます。

しかも、お米はとにかく重く、物流費やドライバー不足の影響を非常に受けやすい商品です。

米穀卸が登場

ここが一般の消費者には一番分かりにくいところです。

全国からお米を仕入れ、スーパー、飲食店、学校給食、コンビニなどが必要とする量を安定して供給するのが米穀卸です。

産地、数量、品質、価格、出荷時期などを調整して年間を通じた供給を支えています。

精米事業者

玄米は精米工場へ運ばれ、石などの異物を取り除き、色彩選別機などで不良な米を取り除き、品質を確認し、計量して袋に詰めます。

そして重要なのが、玄米60kgから白米60kgができるわけではないことです。

精米すると糠などが取り除かれるため重量が減り、歩留まりを9割とすれば、玄米60kgからできる白米は約54kgです。

概算金が玄米60kgで2万円なら、単純に12で割って「5kg=1,667円」と考えることはできず、白米5kg分の原料となる玄米だけで約1,850円相当になります。

南箕輪村では、東洋ライスに村産米の金芽米加工をお願いしています。このように単なる精米だけでなく、独自技術によってお米に新たな機能や付加価値を加える「高付加価値化」を担う加工事業者もあります。

米袋

袋を製造する包装資材メーカー、ラベルやパッケージを印刷する会社、段ボールを供給する会社なども、お米の流通を支えています。

精米工場ではそれらを使って商品化し、今度は物流センターへ送ります。

スーパーなど

最後に登場するのがスーパー、ドラッグストア、ホームセンター、米穀店などの小売業者です。

小売店にも、店舗までの配送費、人件費、家賃、電気代、在庫管理、決済費用などがあり、そこに小売事業者としての利益を加えて、ようやく私たちが目にする「店頭価格」になります。

そしてスーパー以外にも、コンビニのおにぎりや弁当をつくる「中食事業者」、飲食店やホテルなどの「外食事業者」、学校給食、病院、福祉施設など、家庭用以外にも巨大なお米の流通があります。

まとめ

農家→乾燥・調製施設→検査機関→JA・民間集荷業者→全農等→倉庫業者→運送業者→米穀卸→精米事業者→包装資材関係→物流業者→小売・中食・外食→消費者

という非常に長い流れが見えてきます。

もちろん、すべてのお米がこのすべてを通るわけではありません。

商社が入ることもあれば、地域卸が入ることもある。逆に農家が自ら精米してネット通販や直売所で消費者に直接販売することもあります。

一方で、農家の概算金が60kgで2万円程度なのに、なぜ店頭では5kgがこの価格になるのか。

その間に「誰がいて、何をして、どれくらいの費用が発生しているのか」は、これまで消費者から非常に見えにくかった部分でもあります。

次の第2部では価格に注目してお米と一緒に旅をしてみようと思います。