現行の地域医療構想と新たな地域医療構想(案)について

現在、長野県を中心に地域医療構想の見直しが進められています。

これを受けて、現行の地域医療構想の内容と、今後示される新たな構想のポイントについて、上伊那の特徴を中心に、分かりやすく整理しながらお伝えしていきたいと思います。

現行の地域医療構想とはなんぞや

地域医療構想は、団塊の世代が75歳以上となり医療ニーズが増大、変化する2025年に向け、中長期的な人口構造や地域の医療ニーズの質、量の変化を見据え、医療機関の機能分化、連携を進め、良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制の確保を目的とするものです。

一言で申すと「地域医療構想とは、高齢化に伴う医療ニーズの増加に備え、医療機関の役割分担と連携を進め、効率的で質の高い医療体制を整えるための計画です。」

地域医療構想に基づき、下記内容等が明らかにされています。

  • 2025年の医療需要と機能別の病床数の必要量の推計値
  • 在宅医療等について、自宅や介護施設等で対応可能との仮定のもと必要量を推計
  • 目指すべき医療提供体制を実現するため施策

上伊那の現状について(平成28年度)

病床数の状況

人口 10 万人当たりの一般病床・療養病床の合計数は、上小医療圏
が最も多く、上伊那医療圏が最も少なくなっています。

上小 上伊那 長野県計
人口197,618185,4402,108,441
一般病床数1,3451,00416,082
人口 10 万人当たり 680.6541.4762.7
療養病床数 9093184,265
人口 10 万人当たり 460.0171.5202.3

人口10万人当たり医療施設従事医師数

長野県の二次医療圏別の人口10万人当たり医療施設従事医師数は、多い順に松本346.4 人、佐久 223.8 人、諏訪 216.6 人となっています。

一方、少ない順では、木曽 117.2 人、上伊那136.4 人、上小 154.8 人となっています。

全国との比較では、松本医療圏を除く全ての二次医療圏で全国平均の数値を下回っています。

看護師等の就業者数の状況

県内就業者数は 28,041 人、人口 10 万人当たりの就業者数では、保
健師、助産師、看護師で全国より高く、准看護師で下回っています。

なお、保健師数は全国2位、助産師数は全国3位に位置しています。

各二次医療圏の人口 10 万人当たりの就業者数には、地域間の偏在が見られ、看護師数では上伊那は全国平均を下回っています。

保健師助産師看護師准看護師
上伊那75.529.1784.1250.2
長野県69.537.8969.1253.2
全国38.126.7855.2267.7

上伊那医療圏における一般病床及び療養病床の分布

長野県の二次医療圏別 救急搬送の平均時間

上伊那では現場到着から収容までの時間がかかる傾向があります。

二次医療圏ごとの在宅医療(訪問診療・往診)実施状況

多くの医療圏で「訪問診療・往診のいずれか、または双方を実施している医療機関」が、 「実施していない医療機関」よりも多くなっています。(上伊那の病院は同数)

病院医療機関数訪問診療・往診のいずれか
または双方実施している
実施していない
上伊那63(50%)2
長野県9160(65.9%)31
診療所医療機関数訪問診療・往診のいずれか
または双方実施している
実施していない
上伊那6537(56.9%)28
長野県848511(60.3%)337

高齢者向け施設の整備状況

在宅医療等の提供先として想定されている高齢者向けの施設は、県
全体で約3万8千人分の病床が整備されています。

上伊那長野県
特別養護老人ホーム
(小規模特養を含む)
1,37312,503
介護老人保健施設7337,862
介護療養病床1141,277
認知症高齢者
グループホーム
3213,253
養護老人ホーム1201,752
ケアハウス
(軽費老人ホーム)
601,526
有料老人ホーム1766,565
サービス付き
高齢者向け住宅
1262,604
生活支援ハウス
(高齢者生活福祉センター)
25360
シルバーハウジング46111
合計3,09437,813

65歳以上千人当たり高齢者向け施設床数や65歳以上千人当たり介護施設床数については、上伊那は介護施設床数は比較的良好な環境にあります。

高齢者向け施設床数介護施設床数
上伊那56.140.3
全国59.834.2

将来の人口・高齢化率の推移

上伊那区域の総人口は減少傾向にありますが、75歳以上人口は 2030 年頃にピークとなったあと減少に転じることが見込まれます。なお、南箕輪村は2045年以降も増加傾向となります。

区域内に住所を有する入院患者数の推移の見込み(2013(H25)年を1 とした場合の変化率)

まとめ

平成21年度から25年度にかけて実施された地域医療再生事業により医療提供体制の充実が図られ、機能分化・連携が進んでいます。

南北に長い地理的条件の中で、一部住民からアクセスしやすい松本、諏訪区域や飯伊区域へ患者の流出が一定程度存在するのが現状です。

課題として、人口10 万人当たりの病床数が県内で最も少なく、人口 10万人当たりの医療従事者数は、医師が136.4人と10 区域の中で少ない方から2番目、看護師が 784.1 人と県内で最少となっており、医
療従事者の確保が課題となっています。

また、開業医の高齢化などで往診、訪問診療などの負担が大きくなっている中、在宅医療・介護をいかに充実していくかが課題となっており、住まいをベースとして在宅医療や介護を継続して提供できる体制を整え、地域包括ケアシステムの充実を図っていく必要があります。

新たな地域医療構想(案)について

新たな地域医療構想について、入院医療だけでなく、外来、在宅医療、介護との連携等も含めた医療提供体制全体の地域医療構想をする方向で検討されている。