背景
長野県でナンバーワンの若い村であり、さらにはコンパクトシティである南箕輪村。
そんな恵まれたこの山麓の村でも、買い物弱者問題がクローズアップされ始めました。
令和元年度実施の村民アンケート結果から優先度ランキングをみてみると、公共交通機関の利便性や買い物の便利さ(食品・日用品等)が上位にランクインするようになったんです。
公共交通機関の利便性が低いのは、人口密度が低く、車社会である地方においては仕方ありませんし、敢えてアンケートで導き出せば上位に来てしまうでしょう。
ただ、前回5位から1位になった理由としては、単純に高齢化が進み、足がない人が増えたことと、村内巡回バスであるまっくんバスの利便性の低さが原因であるやもしれません。
公共交通機関の利便性を高めれば、テーマの買い物弱者への対策にもなり得ますが、地方の現状をみる限り、公共に縛られてしまうと解決策を導き出すのが難しいと考えます。
ソフト面で対応しやすい、買い物の便利さを先にどうにかする必要があるのではないでしょうか。
そこで、まずは買い物弱者対策に絞って、考え、そして動いてみることにしました。
食料品アクセスマップ
ざっくり食料品アクセスマップを2種類つくってみました。
スーパーマーケット系
生鮮食品も含めて、一般的にスーパーマーケットと呼ばれている店舗を中心に、半径500mの円を描いてみました。
まぁ一目瞭然ですが、85%くらいの人が、車がないと買い物弱者になります。ちなみに右中央の円の中心は長野で人気のツルヤですが、南箕輪村と伊那市の境には天竜川が流れていますので、円の内側にある地域でも、橋を渡らなくてはいけないため、実際は500m以上あります。
+コンビニ系
コンビニは昔にくらべて品質が向上し、品数も増えてきているため、非常に有難い存在です。
赤色がスーパーマーケット系、青色がコンビニや八百屋系などを加えてあります。
大分改善されましたが、村役場がある周辺が一番何もないというくらい、ポッカリ空いていますね・・・。
買い物弱者対策の種類
買い物弱者への対策について、南箕輪村より困っている自治体は山ほどあり、すでに対策が系統化されているので、それに習って考えていくことで革新的なアイディアを導き出す!という、先人に学んでから一気に飛翔するスタンスでスタートしようと思います。
「あたしは絶対お店で買い物する派!」
など、多様な人がたくさんいますので、一つの対策では不十分となります。それぞれが対策を組み合わせて、買い物に困らない環境を整えることができる状況を作ることが、みんながHAPPYになって望ましいと考えます。
1 家まで商品を届ける
最初の対策はコレ。
昔と違ってインターネット通販や配送のインフラが整っているため、商品の購入に困ることは、この南箕輪村においてはありません。ただ、買い物弱者にカテゴライズされる人たちは、ネットリテラシーが比較的低い方が多いです。また、買い物に出かけるという、日々の楽しみの一つを奪ってしまうことは、運動不足に繋がってしまいます。
ゆえに商品を届けるでは解決になりませんが、全てを買いに行くという概念から、届けてもらう量を増やしていく形に導いていく必要があるのではと考えています。
リテラシー向上など、インターネット通販への支援体制が必要ではないでしょうか。
(1)配食
配食サービス(南箕輪村)
村の事業としてお昼のみですが、栄養バランスが取れたランチ弁当を届けてくれます。
おおむね 65 歳以上のひとり暮らし高齢者や調理が困難な高齢者等限定のサービスで
1食:300〜400円程度です。
土日は??(調査中)
平日なら毎日届けてくれるのでしょうか・・・。
お弁当配達サービス(村内)
まりんべんとう https://www.marinefoods-g.com/
村の北東にあるお店です。
別件にはなりますが、店舗で販売している弁当やお惣菜がべらぼうに安いです。かつ弁当190円には大変お世話になっています。なお、オススメはサバ南蛮です。
全国チェーンの配食サービス
温めるだけで食事出来るサービスが増えてきました。
完成した料理が冷凍で届くので、非常に楽ですが、抵抗がある方もいるでしょう。
- まごころケア https://magokoro-care-shoku.com/
- ワタミの宅食 https://www.watami-takushoku.co.jp/contents/top (南箕輪村は常温お届けサービスも対象)
- ニチレイダイレクトフーズ https://wellness.nichirei.co.jp/shop/
全国的に展開している大手のサービスをいくつか列記しました。
(2)買い物代行
買い物を代わりに行ってもらえるサービスです。
まっくん生活支え愛事業 (南箕輪村)
生活必需品に限って、買い物を代わりに行ってもらえます。
- 75 歳以上のみ、または障がい者のみ、または世帯員全員が援助を必要とする世帯のみ
- 年24時間まで30分につき50円、24時間を超える場合は30分につき300円
土日は??(調査中)
生活支援サービス みなみちゃん(村社会福祉協議会)
社会福祉協議会長が認めた方に限って、買い物を代わりに行ってもらえます。
1時間につき800円
土日は??(調査中)
(3)宅配
食材や生活必需品を届けてくれるサービスです。都会では選びたい放題ですが、南箕輪村ではいくつかに限られます。
- イオンネットスーパー https://shop.aeon.com/netsuper/01050000015250/
- コープデリ https://www.coopdeli.jp/
- 生活クラブ https://nagano.seikatsuclub.coop/index.html
- デリシアネット便 https://netsuper-delicia.jp/
- ヨシケイ信州 http://yoshikei-dvlp.co.jp/sin/ (村内で対象外エリアあり)
- JAまごころ宅配 https://www.nn.zennoh.or.jp/service/jatakuhai/
- ライフデリ上伊那 https://lifedeli.jp/kamiina.html (一部対象外エリアあり)
これは買い物弱者でない方でも利用している人が多いのではないでしょうか。
2 店舗を届ける
南箕輪村はコンパクトシティであり、周辺自治体を含めると、それなりに店舗が点在しているので、店舗を届けることに対しての優先度は低いと思います。
(1)移動販売
食品や生活必需品など、多品目の移動販売は把握できていません。
(2)買い物場の開設
こちらも、把握できていません。
3 店への交通手段を提供する
(1)巡回バス
村内を巡回するまっくんバスと、村を南北に走る伊那本線(巡回バスではなく路線バス)があります。
まっくんバス
村内を広く周る巡回バスです。巡回バスなので、必ず反対方向のバスが走っている路線バスとは異なり、行きは10分で着くけど、帰りは1時間かかるなど、複雑であることは否めません。
- 75歳以上の方は無料です。
- 土日は運休です。
村が2台保有しているまっくんバスですが、1台を大芝の湯へのバス、もう1台を買い物&病院へのバスに分け、さらに伊那本線と重複しているラインを除外し、ルートも細かい道は走らずに大通りだけをガンガン周る形の方が時間も読めていいやもしれません。
まっくんバス回数券交付事業
(調査中:未確定)
- 回数券が50枚交付されます。(運転免許を自主返納した障がい者のみ?)
- 回数券 100 円券が100 枚交付されます。(運転経歴証明書保持者の障がい者のみ?)
伊那本線
南箕輪村の国道を南北に走る路線バスで、隣町の伊那市と箕輪町にも繋がっています。
1〜2時間間隔で走っており、路線バスなので、バスに乗れば行きも帰りも、同じ時間で乗車停留所に戻ってくることができます。
現状、まっくんバスと経路がかぶっているルートが勿体無い状況です。
さっき載せたまっくんバス運行図というと、右側を上下に走っている黒い線が伊那本線です。
(2)デマンドタクシー
タクシー利用料金助成事業(南箕輪村)
タクシー初乗り料金利用券が年24枚もらえます。
- 交通手段を持たない 75 歳以上のみの高齢者家庭限定
- 重度障がい者(①身体障害者手帳1、2級の交付を受けた一定の障がいを有する方 ②療育手帳A1、A2の交付を受けた方 ③精神障害者保健福祉手帳1、2級の交付を受けた方)
福祉移送サービス事業(南箕輪村)
買い物へ専用車両にて移送してもらえます。 往復??(調査中)
村在住で、交通手段を持つことができない 70 歳以上の高齢者や要介護認定者、要支援認定者、障がい者が利用出来ます。
- 事前に利用登録が必要
- 土日、祝日、お盆、年末年始は不可
- 1ヶ月に 3 回を限度
- 1回あたりの利用時間は1時間以内
- 運行範囲は南箕輪村、伊那市、箕輪町
- 利用料無料(登録時に保険料1,000 円)
(3)店舗運営の買い物バス、ワゴン
村および周辺店舗が、南箕輪村を対象に実施しているケースはありません。
例えば、実施した店舗に、乗合ワゴン購入や待合所の整備に関する補助金を村が整備するなどすれば、実施される可能性があるやもしれません。
(4)費用割り勘型のライドシェア
南箕輪村として実施していません。
法律に違反しない、この費用割り勘型のライドシェアは高い可能性があると感じています。
買い物弱者の方にガソリン券(軽油も使える)を一定枚数渡しておき、買い物に一緒に連れて行ってくれた方にガソリン券を渡すことで費用を割り勘する形はどうでしょうか。
子どもと同居している、子どもが近くにいる人でも、子どもがいなければ買い物弱者になるのであれば、ガソリン券を配布して、子どもに送ってもらった時は子どもにガソリン券を渡せばいいんです。(背景には子どもに頼むのが申し訳ないと思う人が増えてきているとのこと)
買い物弱者を支援したいと考える方はたくさん居ます。つなぐきっかけをこのガソリン券で作れないかなぁと考えています。
マッチング方法について色々ありますが、信用力のある村主体で実施できれば、それほど苦労しないでしょう。
2020年1月21日 文責 藤城
コメント