所信表明(2025.6.2)

2025年6月2日に開会した南箕輪村議会6月定例会で、2期目の所信表明を行いましたので全文を掲載します。

 さて、私ごとではございますが、去る4月に執行されました南箕輪村長選挙におきまして、無投票ではありましたが、引き続きご信任を賜り、再び村長という重責を担わせていただくこととなりました。

 この場をお借りして、村民の皆さまのご支援とご協力に、心より感謝申し上げます。

 本日は、今後4年間の任期において、私が取り組んでまいります基本的な考え方と重点施策について、少しお時間を頂戴し、ご説明申し上げます。

 私が目指すのは、「誰もがいつまでも幸せに暮らせる村づくり」であります。その実現に向けて、次の6つの政策分野を特に重要な柱として位置付け、着実に推進してまいります。

 まず1点目として「人と人、そして人と自然とのつながりを大切にしてまいります」地域の皆様のつながりを深めるとともに、自然環境との共生を図り、豊かな暮らしを守ってまいります。

 2点目として「子育て支援の充実と、働きやすい環境づくりを推進いたします」。子育て世代が安心して子どもを育てられる環境を整え、また多様な働き方を支援してまいります。

 3点目として「熟年者をはじめ、多様化する支援のニーズに丁寧に対応してまいります」。一人ひとりの状況に寄り添い、きめ細やかな支援を行ってまいります。

 4点目として「防災拠点の整備など、安全・安心なまちづくりを確実に進めてまいります」。災害に強い地域づくりに努め、村民の皆様の安心を守ってまいります。

 5点目として「地球温暖化対策とデジタル化の推進を着実に進めてまいります」。環境負荷の軽減に努めるとともに、行政サービスの効率化と利便性向上を目指してまいります。

 そして6点目として、「健全な財政運営を堅持し、住民負担の増加を抑えた行政運営に努めてまいります」。財政の健全性を保ちながら、効果的かつ効率的な施策の実施に努めてまいります。

 1つ目の、人と人、人と自然とのつながりを大切にする地域づくりでは、いつまでも幸せに暮らせる村の実現に向け、人と人、人と自然とのつながりを大切にした取り組みを進めてまいります。特に、熟年者や子育て世代、不登校児童等、地域での滞在時間が長い方々にとっての「居場所」づくりに注力してまいります。

 居場所づくりの具体的な取り組みでありますが、不登校児童や子育て家庭をはじめとする方々に対応した多機能型施設として「こども館」の整備を進めてまいります。

 小・中学生を中心とした不登校児童の社会的孤立を防ぐことを目的に、落ち着いて学習・作業が可能なスペースや楽しんで体を動かすことができるスペースを設けるとともに、高性能パソコンやタブレットを設置し、プログラミング、eスポーツ、動画編集など多様な活動が可能な環境の整備も検討してまいります。ソフト面に関しては、導入段階では最小限とし、利用者の増加に応じて段階的な拡充を図るとともに、管理者の配置等、人的体制の強化についても併せて検討いたします。

 雨天時に遊べる屋内キッズスペースの整備も進めていきたい考えであります。屋内でも親子で安心して遊べる居場所の提供を目的に、保育園児から小学校高学年までが楽しめる屋内キッズパークの設置を進めてまいります。屋内アスレチックやトランポリン、ミニ電気カーや弾力性のある大型ボールなど、家庭では体験が難しい遊具の導入や、保護者同士が交流できるベンチ等のスペースの設えについて検討を進めます。

 居場所づくりのテーマからはそれますが、保育園での受け入れ状況に応じて、急な転入等への対応を目的に、こども館における一時的な保育機能の整備を検討いたします。すくすくハウスとの機能分担を明確化しつつ、令和8年度より開始予定の「誰でも登園制度」については、各保育園での対応を基本といたします。

 大芝の湯においては、リニューアルに合わせて、子育て世代に対する交流機会の創出および心身のリフレッシュを目的に、キッズスペースの創設を進めてまいります。
「ゆったりタイムイン大芝」を基本枠としつつ、保護者の余暇時間を確保する一時預かり施設や、産後ケア施設としての活用の可能性についても幅広く検討を進めます。

 幅広い世代に居場所を提供することを目的に、図書館については書籍の充実に加え、スペースの拡充を視野に入れた施設の機能強化を検討してまいります。

 熟年者や子育て世代を対象に、交流や自然体験の場としての「ふれあい農園」を新設いたします。設置場所については、地域公園の隣接地や眺望に優れた場所を候補とし、地区ごとの需要や立地条件を踏まえてアンケート調査等を実施した上で、設置規模・運営方法を柔軟に検討いたします。

 子育て世代が安心して集える環境を整えるため、地域公園の整備を推進いたします。

 現状では遊具が未整備の地域公園がありますが、すべての公園に遊具を設置することを基本方針といたします。なお、指定管理を行っている区との合意形成が課題となることも想定されるため、今後の管理形態の見直しについても検討課題といたします。細かな話となりますが、保護者の見守りや交流促進を目的に、既存のベンチが1つ以下の公園については、2基以上のベンチ設置を標準とし、段階的に整備を進めます。

 村民の交流や休憩の場としての機能向上を目的に、役場周辺の整備を進めてまいります。バス停や保健センター付近に高齢者や児童の滞在が見受けられることから、バス停周辺、村民センター前、保健センター東(桜の木の下)にベンチやテーブルの設置を検討いたします。

 幅広い年齢層の利用が見られる村民センターホールについては、応接室など既存の打合せスペースと併用しつつ、村民の居場所としての開放を検討してまいります。

 森林空間を活用した多世代の居場所づくりを進めるため、次の施策を推進いたします。まずは、地域林政アドバイザーの活用です。「大芝高原森林づくり実施計画」の着実な遂行に向け、地域林政アドバイザーとの中期的協議を通じて、役割分担の明確化を図ります。

 コミュニティによる森林活用を進めるべく、同計画に位置付けられている「大芝森部」の創設について、前向きに取り組んでまいります。

 飛地に目を移しますと、将来的な利用者増加を見据え、経ヶ岳登山口周辺における駐車場の拡張について検討を進めます。

 熊について、伊那市・箕輪町で進行中の熊に関するゾーニング設定に倣い、本村においても速やかなゾーニングの策定を行い、安全な自然環境の維持に努めます。

 地域社会を支える基盤としての自治会を、時代に即した形で維持・発展させるため、次のとおり検討を進めます。

 持続可能な自治会検討委員会では、集金方法の見直しをはじめ、自治会運営に関するガイドラインの周知徹底を図ります。関連して、過去実施したおでかけ村長室を再開、充実させ「大芝高原森林づくり実施計画」と連携した住民の皆様への説明会を各公民館にて開催いたします。

 また、指定地域共同活動団体制度の研究を進めてまいります。地域活動の新たな担い手育成を目的とし、庁内での研修・研究の実施や、必要に応じて先進地域(例:広島市)への視察研修を実施するなど、制度創設に向けた検討を行ってまいります。

 「南箕輪村地域活動支援事業補助金」について、居場所づくりを進める団体がより柔軟に活用できるよう、補助制度の見直しを検討いたします。

 地域農業の振興および教育現場における地産地消の推進に向けて、地産地消コーディネーターの配置と活用、学校給食センターへの農産物納入の円滑化を図るため、昇降機器の導入や納品スペースの整備(白線引き)を実施します。

 次に、2つ目の子育て支援の充実と働きやすい環境の整備についてです。

 子育て世代の経済的・心理的負担を軽減することを目的として、保育園給食における村産特別栽培米の提供、おむつ購入に対する補助制度の創設、学校給食の無償化の推進、妊婦に対する医療費支援制度の導入等、包括的な施策の充実を図ってまいります。

 現在、保育園においては各家庭が炊飯したご飯を持参する形式を採用しておりますが、これを改め、保育園にて村産の特別栽培米「風の村米だより」を提供する方式への転換を検討いたします。
 その実施に際しては、産業課所属の管理栄養士(地産地消コーディネーター)を中心に、学校給食センターの炊飯設備の活用可否、保育園内での炊飯体制、提供用食器の調達、運搬・洗浄体制の構築等、実務面での課題整理を行ってまいります。

 また、保育園におけるおむつ持ち帰りの廃止を踏まえ、家庭における育児負担を軽減する観点から、おむつ購入に係る補助金制度の導入を検討いたします。あわせて、おむつのサブスクリプションサービス導入についても、保管・管理の観点から実現可能性を検討してまいります。

 国においては2026年度より小学校給食の無償化が予定されております。これを受け、本村においても中学校給食を含めた無償化実現に向けて、財源確保や運営体制の整備を含めた検討を進めてまいります。

 妊娠期における通院機会の確保は、妊婦及び胎児の健康保持に資するとともに、子どもが生まれた後には通院機会が減少してしまうこともあり、将来的な医療費抑制にもつながると考えられます。他自治体(例:箕輪町)の先行事例を参考に、妊婦に対する福祉医療費無償化制度の導入を検討してまいります。

 出産後の母子の心身ケア及び育児負担の軽減を図るため、産後ケア事業の充実と、保護者の余暇確保を目的とした柔軟な子ども預かり体制の整備に取り組んでまいります。村内には現在、2か所の民間の産後ケア施設が設置されておりますが、より多様なニーズに対応できる体制を整備するため、「大芝の湯」のキッズスペースの活用等、新たなリソースの活用について検討を進めてまいります。

 本村は、近隣に親族のいない核家族世帯が多いことから、保護者の育児負担軽減および精神的余裕の確保を目的として、余暇利用を含む子どもの一時預かり制度の整備が求められております。「親子のひとやすみ事業」「集落支援員による保育園児預かり事業」「すくすくハウス」等、既存施策の拡充に加え、新たな制度設計についても検討を進めてまいります。

 教育における安全性・快適性・専門性を高めるため、専科教員の配置拡充、施設設備、トイレの洋式化等、環境面からの整備を進めてまいります。

 本村では、独自に体育専科教員の配置を進めており、今後はその教育効果の「見える化」を行い、客観的な成果把握に努めてまいります。また、オランダ式に代表される先進的な教育実践を学ぶ機会を提供するため、外部研修の実施等を通じて、教員の専門性と意欲の維持・向上を図ります。

 保育園においては、衛生面および保育活動の円滑化を目的に、お湯の使用が可能な給湯設備の整備を段階的に進めてまいります。

 児童・生徒の快適な学校生活を支えるため、小中学校におけるトイレの洋式化を推進し、100%の洋式化を目指して整備を進めてまいります。

 地域における子育て支援の一翼を担う育成会については、現在の組織形態や役割を再確認し、地域ニーズに即した機能再編を含め、その在り方について検討を進めてまいります。

 3つ目は熟年者および多様化する支援ニーズへの丁寧な対応です。

 多様化する支援の声に対し、制度の狭間に取り残されることのないよう、福祉課相談係が中心となり、一人ひとりに寄り添った丁寧な対応を心がけてまいります。特に、移動、生活支援、健康づくり、住まい、墓地整備など、熟年者にとっての身近な課題について具体的な対応を進めてまいります。

 令和5年度より進めている地域公共交通の見直しを受け、令和8年度より「ドア・トゥ・ドア型」の移動支援サービスを充実させてまいります。バス停までの移動が困難な高齢者等への対応を強化し、誰もが安心して移動できる地域交通体系の構築を目指します。なお、令和7年度は詳細設計の重要な時期であり、制度改定予定の令和8年4月までの検討期間は限られていることから、関係機関との調整を迅速かつ丁寧に進めてまいります。

 近年、墓地継承の負担軽減を背景に、合葬式墓地に対する村民の関心が高まっています。整備中の合葬式墓地については、利用申込の方法、事前予約の可否など運用面の詳細について、建設段階から積極的な広報を行い、住民にとって分かりやすい情報提供に努めてまいります。

 障がいのある方が地域で安心して暮らし続けられるよう、障がい者向けのグループホームの整備を推進してまいります。福祉関係者や関係機関との連携のもと、本人の意向に寄り添った住まいの選択肢を増やし、地域共生社会の実現に貢献してまいります。

 また、熟年者の社会的孤立の防止や、災害時の個別避難計画の早期策定を重点的に進めます。「まっくん生活支え愛事業」では、地域のつながりと生活支援の視点から、支援マップ等の活用により、体制の充実を図ります。

 厚生労働省が推奨する「ウォーキング+筋力トレーニング」による熟年者の運動習慣づくりを村内で推進します。例えば区ごとに実施できるプログラムの整備や、指導者の育成を進め、健康寿命の延伸と介護予防に取り組んでまいります。

 村民の運動機会をさらに充実させるため、議会からもご要望をいただいております専門の「スポーツ係」の設置を検討いたします。これにより、既存の健康推進事業を体系的に運営し、子どもから高齢者まであらゆる世代が参加可能なスポーツイベントや健康づくり教室を開催してまいります。

 また、保健事業の強化として、歯科衛生士による口腔ケア支援、フレイル予防指導の導入も進め、医療・介護との連携を深めてまいります。

 4つ目は、防災拠点の整備をはじめ、安全・安心な暮らしの確保です。

 南箕輪村では、地域全体の防災力向上と住民の安全・安心な暮らしを確保するため、大芝高原を中核とした防災拠点整備をはじめ、道路やインフラの安全性向上に向けた取組を進めてまいります。

 災害発生時の迅速な対応体制を構築するため、「道の駅 大芝高原」における業務継続計画(BCP)の策定を進めます。計画に基づき、非常時の対応手順や備蓄品の配置、情報提供体制を明確化し、村民への周知もあわせて行ってまいります。

 大芝高原に位置する防災研修センター「森の学び舎」について、災害時にも機能が維持されるよう、非常用電力の確保を図ります。今年度予定する「エネルギー事業申請支援業務委託事業を活用し、必要な電力量の算出を行い導入方法を検討してまいります。

 令和7年度に予定している「大芝高原施設整備計画」の見直しにあたっては、地域防災拠点としての機能強化の視点から、必要な施設や設備の整備要素を加味して再検討を行ってまいります。

 住民の安全確保および利便性向上のため、県道南箕輪沢渡線と大清水川の交差点の早期改良、国道における歩道整備の推進、危険箇所における交差点の改良を進めます。

加えて、地域内の幹線道路における渋滞・交通事故の軽減策として、ラウンドアバウトの導入検討を進め、円滑で安全な交通体系の構築を目指します。

 大規模災害時においても基幹ライフラインとして機能が維持されるよう、上下水道施設の耐震化を計画的に推進してまいります。既存施設の耐震性能の調査結果に基づき、必要な補強工事等を段階的に実施いたします。

 5つ目は、地球温暖化対策とデジタル化の着実な推進です。

 南箕輪村では、持続可能な社会の実現を目指し、地球温暖化対策と行政・生活のデジタル化を両輪で進めてまいります。省エネルギーの促進、再生可能エネルギーの導入、公共施設の長寿命化・断熱化に加え、住民サービスの利便性向上に資するデジタル化を着実に推進いたします。

 今年度予定する「エネルギー事業申請支援業務委託事業」を活用し、南箕輪村のゼロカーボン達成に向けたロードマップを構築します。断熱改修、再生可能エネルギーの導入、電気自動車の活用など、2030年を目標とした具体的な施策を段階的に展開してまいります。

 「地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」に基づき、村役場や南箕輪小学校をはじめとした公共施設において、長寿命化と併せた断熱改修を推進します。これにより、冷暖房効率の向上と光熱費削減を図るとともに、村施設の省エネルギー化を促進します。

 地域資源を活用した再生可能エネルギー導入のモデルとして、大芝の湯における熱利用のみのバイオマスボイラー導入を検討・推進します。森林資源の循環利用と施設運営の脱炭素化を両立させます。

 公共施設および一般住宅における屋根設置型太陽光発電の導入を推進します。新築・改修のタイミングを捉え、導入支援策や普及啓発活動を通じて導入を後押ししてまいります。

 住民の利便性向上と業務の効率化を目的として、行政窓口のデジタル化を段階的に進めてまいります。申請書等を紙で記入せずに、口頭での申告や端末操作のみで必要書類が交付できる「書かない窓口」を導入します。マイナンバーカード等を活用し、ワンストップで手続きが完了する仕組みを整備することで、住民の負担軽減と行政のスマート化を図ります。

 6つ目として、健全財政の堅持と住民負担の抑制に努めます

 南箕輪村では、物価高騰や国民負担率の上昇といった経済環境の変化を踏まえ、財政の健全性を維持しつつ、住民の生活負担を増やさない行政運営を基本方針とします。公共料金の据え置きや物価高騰対策に加え、税外収入の確保や地域経済の活性化策を通じて、持続可能な自治体経営を推進してまいります。

 物価上昇の影響を踏まえ、村が交付している各種補助金(ごみステーション、地区社会福祉協議会等)について、公平性と妥当性を確保する観点から一律の見直しを進めます。既存制度の持続可能性を担保しつつ、限られた財源の中で地域課題に的確に対応できる補助制度へと再構築します。

 税外収入の確保と地域産業の活性化を両立する手段として、ふるさと納税の推進に一層注力してまいります。地場産品を活かした返礼品の拡充やプロモーション強化、寄附者との関係人口化の促進を通じて、持続的な財源確保につなげます。

 短期的には、燃料費や食費等の高騰による影響を受ける世帯や施設への支援策を講じるとともに、中長期的には、生活の中で実感できる形での支出軽減策(例:断熱改修支援、給食無償化の拡充)を通じ、村民の生活安定を図ります。

 地域経済の基盤強化を目的に、幹線道路沿いやインターチェンジ周辺の土地利用を活かした企業誘致を積極的に進めます。地元雇用の創出や税収増加を通じて、将来的な財政の安定化にも資する取組を展開します。

 以上6つについてが、私が4年間の中で取り組んでまいりたい政策であります。なお、これら全ての施策実施にあたっては、管理職を中心に職員の皆様、村民の皆様、そして議員の皆様としっかりと対話を重ね、任期中に相当の成果を出すことを目指して、推進してまいります。議員の皆様にも、議会の中で丁寧に説明してまいりますので、改めてご指導ご鞭撻を切にお願いいたします。