長野県から、令和7年度末の「汚水処理人口普及率」が発表されました。長野県全体では98.5%で全国7位、南箕輪村は100%となっています。
ただし、ここでいう100%は「すべての家庭が下水道につながっている」という意味ではありません。
南箕輪村は100%
南箕輪村の内訳を見ると、下水道が98.5%、浄化槽などが1.5%で、両方を合わせた汚水処理人口普及率が100%です。
下水道を100%にするのではなく、生活排水を適切に処理できる環境を100%にすることが大切です。(長野県公式サイト)
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このことは、これから非常に重要になってきます。
これまで下水道は、衛生環境や河川の水質を大きく改善してきました。一方で、当然ながら地下には膨大な管路が必要となり、整備した後には点検、修繕、更新を何十年にもわたって続けなければなりません。
南箕輪村でも、将来にわたり下水道事業を継続するため、令和7年度から16年度までの新しい経営戦略を策定するとともに、ストックマネジメント計画に基づいて施設の更新を進める段階に入っています。
災害対応
さらに考えさせられるのが災害です。
能登半島地震などでは上下水道施設も大きな被害を受け、地下に張り巡らされた管路が被災すると、復旧に時間がかかるという課題が改めて浮き彫りになりました。
もちろん浄化槽なら災害に無敵というわけではなく、浄化槽そのものの破損や停電などの問題もあります。
下水道と浄化槽の最適解
そこで出てくるのが、どういった基準で下水道管を維持することが最適なのかという問いです。
例えば住宅が密集している地域では集合処理には大きな合理性があります。
しかし、住宅が点在する山間部で数軒のために長い管路を維持し続ける場合は事情が違います。
国も、人家のまばらな地域では個別処理の浄化槽が経済的で、人口密度が高くなるほど下水道などの集合処理が経済的になるという基本的な考え方を示しています。(国土交通省)
実際、長野県内を見ると、下條村は下水道0%で浄化槽等96.2%、泰阜村は下水道0%で浄化槽等79.2%、南相木村も下水道0%で浄化槽等98.1%です。
つまり「下水道がない=生活排水対策が遅れている」とは限りません。地域によって最適な方法が違います。(長野県公式サイト)
国の考え方も変化
そして国の考え方も変化しています。国土交通省は人口減少を踏まえて「集合処理」と「個別処理」の最適化を進めており、これから整備する地域だけでなく、すでに下水道を整備した区域についても、集合処理から個別処理、つまり浄化槽へ見直すことを選択肢として示しています。(国土交通省)
これはかなり大きな転換だと思います。
南箕輪村の場合は?
だからといって、南箕輪村の下水道をすべて浄化槽に変えればよい、という話ではありません。
人口密度が比較的高く、すでに下水道網が整備されている南箕輪村では、現在の下水道という資産を有効に使うことが基本となります。
ただ、これから数十年かけて管路が更新時期を迎える中で、「古くなったから同じ場所に同じ管を入れ直す」だけでよいのかは考える必要があります。
人口密度、更新費用、維持管理費、災害時の復旧性などを比較し、中心部では下水道、条件によっては周辺部では浄化槽というように、地域ごとに最適な方法を選択する時代に入ってきていると私は感じています。
南箕輪村は汚水処理人口普及率100%を達成していますが、この100%を、50年後、100年後までどう持続させるのかという課題が待ち構えています。
下水道普及率という数字だけを追う時代から、下水道と浄化槽を適材適所で使い分け、災害にも財政にも強い生活排水システムを考える時代が来ています。
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